テック業界の才能を求める米軍
アレスの共同創業者でCEOのアレックス・ツェンがビジネスアイデアを思いついたのは、今年初めに米海軍航空司令部が提示したRFI(情報提供依頼書)を目にしたのがきっかけだった。そのRFIは、「30万ドル(約4400万円)以下のコストで年間500ユニットの生産が可能な戦闘機用の空中発射兵器の迅速な開発、試作、実戦配備について産業界の意見を求める」というものだった。ツェンは、電気自動車(EV)メーカーのリビアンで自動運転チームに所属し、かつてはカーネギーメロン大学でターボジェットエンジンを研究していた。彼は、マッハ・インダストリーズを退職した後にLonginus(ロンギヌス)という対戦車ミサイルを開発するスタートアップで、後にアレスの共同創業者となるデヴァン・プランタムラと知り合った。かつては米海軍に所属していたプランタムラが立ち上げたロンギヌスは昨年、資金不足によって事業閉鎖に追い込まれた。
Yコンビネータが4月に防衛テックスタートアップを募集したとき、ツェンはそのチャンスに飛びついた。彼はプランタムラとともにカスタム部品と既製品を組み合わせ、11週間以内にプロトタイプを設計し、打ち上げに成功した。
アレスの事業は、まだ連邦政府からの爆発物や銃器のライセンスを取得していないが、YCからの出資を発表して以来、投資家や潜在顧客からの関心が高まっているという。プランタムラとツェンは、他の防衛テックのスタートアップが安全性の問題で躓いたことを認識しており、同じ失敗を繰り返さないようにしている。
YCのフリードマンは、アレスへの出資を発表したことで、防衛テック分野の起業家の関心が高まることを期待している。「我々は、来年末までに有望な防衛テック企業を送り出し、アンドゥリル以外にも成功事例がつくれることを証明したい」と彼は語った。
(forbes.com 原文)