宇宙

2024.07.28 15:00

わずか12光年先の系外惑星「スーパージュピター」、JWSTで直接撮像に成功


系外惑星Eps Ind AbをJWSTのMIRIで直接撮像した赤外線画像。左の枠内は中赤外域の波長10.65µm、右は15.55µmでそれぞれ撮影(Müller (MPIA/HdA), E. Matthews (MPIA))

系外惑星Eps Ind AbをJWSTのMIRIで直接撮像した赤外線画像。左の枠内は中赤外域の波長10.65µm、右は15.55µmでそれぞれ撮影(Müller (MPIA/HdA), E. Matthews (MPIA))

人工的な食

今回の観測では、低温の天体から主に放射される赤外線に対して高感度であるJWSTのMIRI(中赤外線観測装置)を用いた。MIRIは、中心の主星からの光を遮蔽し、人工的に食(天体の一部や全部を他の天体が覆い隠す現象)を起こすことが可能なコロナグラフを備えている。これにより、明るい星の光を遮断した状態で周囲を観測することができた。

今回の直接撮像が可能になった理由は、Eps Ind Abが非常に近くにあるからだ。距離が近いほど、主星と惑星との距離間隔がより大きくなるため、主星の明るさを望遠鏡で軽減できる可能性がより高くなる。

Eps Ind Abは希少ではあるが、太陽系に最も近い「スーパージュピター」ではない。エリダヌス座の方向約10.5光年の距離にあるエリダヌス座イプシロン星b(Epsilon Eridani b)が、最も近いスーパージュピターだ。

新しい惑星

論文の筆頭執筆者で、独マックス・プランク天文学研究所(MPIA)の研究者のエリザベス・マシューズは「この新しい惑星を撮像したことがわかったときは心が躍った」と話す。「驚いたことに、MIRI画像に現れた明るい点は、予想していた惑星の位置とは一致しなかった」。過去の研究では、この星系に惑星が存在するのを正しく認識していたが、惑星の質量と軌道半径を小さく見積もっていた。

研究チームの次の目標は、系外惑星からの反射光を測定することだ。これは、系外惑星の大気の化学組成や気候の特性などを解明する助けになる可能性がある。「長期的には、これまで検出を逃れていた可能性のある低温の巨大ガス惑星を探すために、近傍にある他の惑星系も観測したいと考えている」と、マシューズは説明している。「こうした調査は、ガス惑星がどのように形成されて進化するかに関する理解を深めるための基礎となるだろう」

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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