テクノロジー

2024.07.27 11:00

敵か味方か? 「ハリス米大統領」誕生が大手テックに与える影響

筆者はこのほど、2日間にわたってテック大手の幹部と、ハリスが大統領に就任した場合にテック業界に与えうる影響について意見を交換した。以下はその要約だ。

1. データプライバシーと消費者保護
ハリスはデータプライバシーを強く主張している。テック企業がユーザーのデータを収集・使用・共有する方法について、より厳格な規制を推進するかもしれない。

2. 独占禁止の取り締まり
ハリスは、テック大手にパワーが集中することに懸念を表明している。ハリス政権は積極的に反トラストを追求する可能性があり、テック部門における買収・合併の監視を強めることにつながるかもしれない。

3. AI規制
ハリスは責任あるAI開発を求めている。ハリス政権は、偏見の防止と市民権の保護に重点を置いてAIシステムが倫理的に開発・導入されるよう、ガイドラインや規制を導入するかもしれない。

4. サイバーセキュリティ
カリフォルニア州司法長官としての経歴と上院議員としての活動を考えると、ハリスは国のサイバーセキュリティ対策の強化を優先するかもしれず、それはテック企業のセキュリティ慣行と責任に影響を与える可能性がある。

5. ブロードバンドアクセス
ハリスは地方や十分なサービスを受けていない地域におけるブロードバンドへのアクセスの拡大を支持している。そのため、電気通信事業者やインターネットサービスプロバイダーにビジネスチャンスが生まれることが考えられる。

6. STEM教育と労働力開発
ハリスはSTEM(科学・技術・工学・数学)教育と労働力開発プログラムへの投資拡大を提唱しており、熟練労働者の数を増やすことでテック産業に恩恵をもたらす可能性がある。

7. 移民制度改革
ハリスは移民制度の改革を支持している。改革で高いスキルを持つテック労働者の就労ビザ取得が容易になるかもしれず、業界の人材不足を解決する可能性がある。

8. 気候テック
ハリスが気候変動に重点を置いていることから、ハリス政権はクリーンエネルギーや気候関連テクノロジーにインセンティブや支援を提供するかもしれない。

9. 通信品位法230条改革
ハリスはインターネットプラットフォーム企業に広範な免責を認めている通信品位法230条の改革に関心を示しており、ソーシャルメディアなどに大きな影響を与える可能性がある。

2022年にテック産業は国内総生産(GDP)に2兆ドル(約308兆円)近く貢献し、GDP全体の約9.3%を占めた。

GDPの1割近くを支えていることを考えると、テック業界はハリスとトランプが業界にとって敵となるのか、それとも味方となるのかを入念に調べるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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