北米

2024.07.17 08:00

「EV敵視」のトランプ、当選すればテスラに思わぬ追い風

Photo by Andrew Harnik/Getty Images

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ドナルド・トランプ前大統領は、バイデン政権が注力する電気自動車(EV)の普及を後押しする政策を繰り返し非難しているが、著名なアナリストの一人は先週、第2次トランプ政権の誕生は、イーロン・マスクのテスラに恩恵を与える可能性があると指摘した。

ウェドブッシュ証券のダン・アイブスは、7月11日の顧客向けメモで、秋の大統領選挙でトランプが勝利した場合、EVの購入に対する7500ドル(約118万円)の連邦税控除が「廃止される可能性が高い」と指摘し、「このことはEV業界全体にとってマイナスになる」と主張した。

しかし、トランプが当選した場合でも、テスラにとっては「潜在的なプラス」になり得るとアイブスは述べている。テスラは、直近の四半期に全販売台数のほぼ半分を米国で販売しており、彼の主張は、一見矛盾しているようにも思える。

しかし、政府によるインセンティブがなくなれば、テスラは「明確な競争優位性」を得られる可能性があるとアイブスは述べ、競争が激化するEV市場でテスラがシェアを奪還できる可能性を示唆した。

アイブスはまた、トランプが中国からの輸入品に関税を課すことに固執すれば、「テスラの競合である、中国メーカーのNIO(上海蔚来汽車)とBYDをますます追い詰めることになる」と付け加えた。BYDは、今年初めに世界トップのEVメーカーの地位をテスラから奪っていた。

「トランプによる関税はテスラに恩恵を与える」と、ヘッジファンドのアンビエンタで最高投資責任者を務めるファビオ・ペッチェもブルームバーグに語り、「もしトランプが当選すれば、テスラにとって大きなプラスになる」と断言した。

トランプは、時おり自身が「EVの大ファン」だと発言しているが、一般的にはEVを批判する場合が多い。先月の集会で彼は「EVにこだわる必要はない」と発言し、3月のインタビューでは「EVは値段が高すぎる。いずれは中国製ばかりになるだろう」と述べていた。

しかし、テスラCEOのマスクとトランプは、意外な同盟関係を築いている。マスクは先月に開かれたテスラの年次株主総会で、トランプが突然の電話で彼に「君の会社の新しいサイバートラックの大ファンだ」と語ったと述べていた。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は5月の記事で、2人がトランプ政権においてマスクがアドバイザー職を務めることについて話し合ったと報じたが、マスクは後にそのような話し合いはなかったと否定した。フォーブスは、世界一の富豪であるマスクの保有資産を2510億ドル(約39兆6000億円)と試算している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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