北米

2024.07.16 09:00

米共和党全国大会、会場周辺での銃所持は可能 州法規定で禁止できず

共和党全国大会が開催される米ウィスコンシン州ミルウォーキー中心部をパトロールする警察官(Spencer Platt/Getty Images)

ドナルド・トランプ前大統領の暗殺未遂事件が起きた直後にもかかわらず、ウィスコンシン州ミルウォーキーで15日に開幕した共和党全国大会(RNC)では、会場周辺の「外周警備区域」での一般人の銃器の携行が認められている。州知事や市当局からは懸念の声が上がっているが、警察は14日夜、警備計画に変更はないと発表した。

ミルウォーキー中心部にある党大会会場内とその近接区域では銃器の携行が禁止されるが、「ソフト・セキュリティーゾーン」と呼ばれる外周警備区域では禁止されていない。

大会開催に先立ち、市当局では外周区域での銃所持も禁止とすることを検討した。しかし、ウィスコンシン州法では銃器を隠さずに持ち歩くこと(オープンキャリー)と許可証取得の上で外から見えない形で携行すること(コンシールドキャリー)が認められており、実現しなかった。州法は、市以下の自治体が独自に銃所持を規制する条例を制定することは認めていない

自動小銃やサイレンサー(消音器)など、一部の銃器や付属品の使用は州法で禁止されており、共和党大会の外周警備区域でも使用できない。

地元紙ミルウォーキー・ジャーナル・センティネルの14日の報道によると、トニー・エバーズ州知事(民主党)はシークレットサービス(大統領警護隊)に対し、外周警備区域での銃器の携行許可を「ただちに」再考するよう要請した。だが、シークレットサービスは14日夜、銃器所持規制の再検討を含め、大会の警備計画に変更はないと発表した。

会場警備担当官のオードリー・ギブソンチッチーノは、すでに党大会は「国家特別警備イベント」に分類されており、「政府が指定可能な最高レベルのイベント警備体制」が敷かれていると説明した。

市議会は6月、会場周辺の警備に関する条例を可決。ミルウォーキー・ジャーナル・センティネルによると、州法に異議を申し立てて警備区域全域での銃器の携行を禁止する項目は、僅差で否決された。

銃器を禁止することはできなかったが、条例では外周区域を含む全警備区域内へのさまざまな物品の持ち込みを禁止している。材木、大型の金属・プラスチック製の物体、ペイントボール銃、空気銃、刀剣または類似の武器、花火、ドローン、先端が金属製の傘、催涙スプレー、接着剤やロープ、レーザー、バックパックや大型バッグ、テニスボール、缶詰、錠前、クーラーボックス、プラスチック製以外の容器、電球、ガラス瓶などだ。

ただ地元では、特にトランプ暗殺未遂事件を受けて、銃器の携行容認に反対する声が強い。ミルウォーキー市会議のロバート・バウマン市議はABCニュースに、現行の警備規定について「まったくばかげている」と不満をあらわにし、こう訴えた。「AR-15小銃を右肩に、ロングライフルを左肩にかけ、2丁の拳銃をベルトに挟んだ人物が警備区域の境界に近づいてきたとしよう。警官が『テニスボールを所持していないか』と問いただす様子が目に浮かぶようだ」

共和党全国大会は18日までミルウォーキーで開催される。トランプは最終日に党の大統領候補に正式指名される見通しで、その際に演説を行う予定だ。

トランプは13日、ペンシルバニア州バトラーの集会で演説中に銃撃を受け、耳を銃弾に「貫かれ」て負傷した。この事件では観衆1人が死亡、2人が負傷。容疑者はトーマス・マシュー・クルックスと特定され、米連邦捜査局(FBI)が捜査を行っている。トランプは14日朝、党大会での演説を中止しないと表明し、予定通りにこの日ミルウォーキー入りした。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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