ブルームバーグの報道によると、マスクは「アメリカPAC」の名で知られるトランプ支持の特別政治行動委員会(スーパーPAC)に寄付を行った。情報筋によれば、かなりの額が寄付されたという。
寄付の正確な金額は不明だが、世界一の富豪であるマスクには、相当な額を寄付する能力がある。
比較的知名度の低い「アメリカPAC」は今年初めに設立され、共和党系の選挙運動支援企業に資金を提供していると、ニューヨーク・タイムズが先月報じている。
トランプ陣営は6月に約1億1200万ドル(約176億8000万円)を集めたが、一方、選挙に向けて資金面で優位を保っているジョー・バイデン大統領の陣営は1億2700万ドル(約200億5000万円)を集めている。だがこれらの数字には、アメリカPACのような寄付額の制限がないスーパーPACへの多額の寄付は含まれていない。
スーパーPACは月曜日(米国時間7月15日)に寄付者を報告する予定だ。
アメリカPACとマスクは、フォーブスのコメント要請にすぐには応じていない。
マスクの純資産は2498億ドル(約39兆4000億円)と推定され、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスやLVMHのベルナール・アルノー会長を抜いて現在世界一の富豪である。
今回の寄付で、マスクはトランプ支持グループに寄付をしている多くの億万長者の仲間入りを果たした。長年の共和党大口寄付者であるティモシー・メロン、ホーム・デポの共同創業者バーニー・マーカス、ヘッジファンド億万長者のジョン・ポールソンなどの億万長者たちは、トランプ前大統領を支援するために合計で数千万ドル(数十億円)を寄付している。中でもメロンはトランプ支持のスーパーPACの1つに5000万ドル(約78億9000万円)を寄付している。
トランプを支援するマスクの寄付は、億万長者のマスクが保守的な政治へとますます明らかにシフトしていることを示している。マスクは移民に関する右派の立場を表明し、自身のソーシャルメディアプラットフォームX(旧Twitter)で公然とバイデン大統領を批判している。マスクは今年初め、トランプ前大統領を明確に支持はしていないものの、バイデン大統領からは「離れつつある」と述べていた。3月にマスクは、トランプにもバイデンにも寄付しないと発言していたが、その時点では、彼はスーパーPACへの寄付については言及していなかった。スーパーPACは法的には選挙運動から独立しているが、しばしば特定の候補者を支援するために資金を使う。過去にマスクは両党のメンバーに寄付しており、ジョー・バイデン大統領に投票したとも述べている。
(forbes.com 原文)