商品やサービスを購入する際、価格や内容などの正しい情報が消費者に提供されていることが、市場経済の根幹である。ところが、しばしば、いろいろな「不正」が行われ、社会問題になっている。食品の産地偽装、薬の製造手順の違反、自動車の(型式認証のための)検査結果の改ざん、自動車保険の修理工場における過剰修理、老人ホームの食材費の過剰徴収などは、記憶に新しい。また、メガ金融グループでは、本来禁止されている顧客情報のグループ企業間の共有が行われていた問題も最近起きている。
「不正」の問題が発覚すると、それぞれの監督官庁が立ち入り調査に入り、問題を把握したうえで、再発防止策をまとめさせ、行政指導または行政処分を科す、というのが通常の手続きだ。再発防止は当然だが、行政指導や行政処分にはさまざまな形態がある。ある期間の営業停止あるいは、生産停止、あるいは排除命令ということが多い。
このような「不正」がなぜ起きるのかについては、利益追求の優先が問題である、という批判が多い。利益追求のため、(新車種の)開発スケジュールを優先させるとか、産地を偽装するなど、利益追求そのものが良くない、という結論を導きがちである。もちろん、規制の順守をしたうえで利益追求するというのが重要なのだが、「規制の順守」をどう担保するか、という問題として考えるべきである。より効率的な解決策は、このメカニズムを構築することにある。
食品の産地偽装は繰り返し起きている。例えば、昨年末以来、ふるさと納税の返礼品にも使われていたウナギの産地偽装が相次いで明らかになった。いずれも、不正競争防止法違反で書類送検されたことと、ふるさと納税の返礼品提供事業者の認定取り消しまでは報道されているが、その後、罰金が科されたかどうかの続報は見当たらなかった。なお、産地偽装は、食品表示法第19条で起訴することも可能だ。こちらは、「原産地について虚偽の表示がされた食品の販売をした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する」とある。なお、法人については第22条で、「一億円以下の罰金刑」を科す、とも書いてある。
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