カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームが米国医師会(AMA)発行のオープンアクセス医学誌JAMA Network Openに発表した査読済み論文によると、eバイク乗車中の負傷者数は2017年には751人だったが、以降は毎年倍増し、2022年には2万3493人を数えた。
また、eスクーター使用中の負傷者数は同時期に45%増加し、2017年の8566人から2022年には5万6847人へと跳ね上がった。
この研究は米国内での小型eモビリティ使用時の最近の負傷パターンに関する初めての調査結果であり、米国消費者製品安全委員会(CPSC)が全米を対象に収集した救急医療データを分析したものだ。データには、負傷者の年齢、負傷の種類、ヘルメット着用の有無、飲酒の有無などの要素が含まれている。
研究チームによると、eスクーター使用時の負傷では従来型のキックボードと比べて、内臓に損傷を負う確率が高かった。一方、従来型キックボードでは腕、手首、手といった上肢のけがが多い。脳・神経系、頭部、骨・関節・筋肉への損傷リスクについては、両者に有意な差はみられなかった。
eモビリティを使用中に負傷した人は、従来型の自転車やキックボードの負傷者より年齢が高い傾向も判明した。負傷者の年齢中央値は、eバイクが39歳、eスクーターが30歳だったのに対し、従来型の自転車とキックボードはそれぞれ30歳と11歳だった。
また、eモビリティの負傷者は、アルコール影響下やヘルメットなしでの乗車など、より危険な行動をとりがちだった。論文の共同筆頭著者でUCSF泌尿器科チーフレジデントのエイドリアン・フェルナンデスは、「安全対策の追加」と「安全な乗車を促進するための(中略)構造改革」が急務だと述べている。