経済・社会

2024.07.21 11:00

AIブームと気温上昇で世界の電力需要が急増、17年ぶり増加幅に IEA報告

マイクロソフト、メタ、グーグル、OpenAIなど、AI分野の先端を行く大手企業の多くは、AIに関する自社の研究や製品がエネルギーや気候に与える影響について完全に詳らかにしてはいない。だが、こうした企業は二酸化炭素(CO2)の排出量を増大させ、ひいては気候変動に大きな影響を及ぼしていると報じられている。

AIは多くの電力を必要とするが、AIを使って気候変動目標を達成するためのよりよい方法が特定できれば、全体的な排出量の削減につながる可能性がある。マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツはこうした見解を示している。

ゲイツは先月、より多くのデータセンターを稼働させるために電力が必要になるものの、AIを活用して電力網やその他のテクノロジーを効率化すれば、各国のエネルギー消費を抑えられると説明。AIがどれだけのエネルギーを使用し、節約できる可能性があるかの試算に言及した上で「数字に熱中しすぎないようにしよう」「問題は、AIが(使用する以上の電力消費の)削減を加速するかどうかだ。その答えは 『もちろん』だ」と報道陣に語った。

再エネが石炭電源を上回る

IEAの報告書によると世界の再生可能エネルギーの発電量は、2025年に初めて石炭火力発電を上回る見通しだ。太陽電池によるソーラー発電だけで、世界の電力需要の今年と来年の増加分のおよそ半分を賄える見込みだという。ソーラー発電と風力発電を合わせると、増加分の75%に達する。ただ、石炭火力発電はインドや中国のような、いまだにエネルギーの多くを環境負荷の大きい燃料に頼っている国々の需要が大きいため、減少することはなさそうだ。

IEAの貞森恵祐エネルギー市場・安全保障局長は、「電力構成に占めるクリーンエネルギーの割合が拡大し続けているのは心強いが、世界のエネルギー・気候目標を達成するためには、もっと速く実現する必要がある」と指摘。「同時に、安全で信頼できる電力供給となるよう送電網を拡大・強化し、冷房需要の増加による電力系統への影響を軽減するために、より高いエネルギー効率基準を導入することが極めて重要だ」と述べている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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