アジア

2024.05.01 08:00

中国、再生可能エネルギー利用が急拡大 2050年には88%に

木村拓哉

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温室効果ガス(GHG)を世界で最も排出しているのは中国(33%)で、次いで米国(15%)だ。ほんの数年前には、中国の温室効果ガス排出量が増え続け、さらには多くの石炭火力発電所を新設する計画であるのに、米国が自国の排出量を数%削減したところで何になるのかという議論があった。中国がまず自国の排出量を減らすべきではないか。

そうした主張に対して中国は、温室効果ガス排出は産業の成長によるもので、米国に追いつこうとしていただけと答えていた。そして、温室効果ガス排出を正味ゼロにする取り組みについて、2015年のパリ協定に基づいて多くの国々が2050年までの達成を約束したが、中国は2060年としたことに対して西側諸国から批判があった。

まるで中国が取り組みを先延ばししているかのようだった。だが今、状況は急速に変わりつつある。中国は180度転換し始めている。国際エネルギーコンサルのDNVは中国のエネルギー転換計画を分析している。それによると、DNVは中国の発電総量における再生可能エネルギー電力の割合は現在の30%から2035年までに55%、2050年には88%に拡大すると予測。2022年に世界で設置された太陽光と風力の発電施設の約40%が中国のものだった。中国では2050年まで再エネ施設設置の動きが続くとDNVは見込んでいる。

電源構成に関する中国の計画と進捗には大きな変化が見られる。中国の一次エネルギー供給は、2030年から2050年にかけて太陽光と風力の割合が7%から41%へと大幅に増える。同期間に化石燃料は83%から44%へとほぼ半減する。

2030年には発電総量の51%強と見込まれる再生可能エネルギーによる電力は、2050年には78%に跳ね上がる。同期間に、化石燃料による電力は46%から24%へとこちらも半減する。電源構成と電力どちらでも石炭と石油は激減するが、天然ガスはほぼ変わらない。
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翻訳=溝口慈子

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