宇宙

2024.07.19 14:00

土星の衛星タイタン、液体の海に「波や潮流」が存在 カッシーニのデータが示唆

土星の衛星タイタンの北極域にあるリゲイア海に流れ込んでいる河川系を、カッシーニ探査機が撮影した画像(NASA/JPL/USGS)

過去の研究では、タイタンの川は、デルタ(三角州、よどんだ海や湖に流れ込む流れの速い川によって運ばれる堆積物でできた扇形の陸地)を形成するのに十分な流量と堆積物の運搬量がないことが判明していた。だが、中には実際に、ミシシッピ川のような、幅が広く流れの速い地球の川に似た流れがある川もあることがわかっている。

壮大な科学ミッション

2034年にタイタンに到着予定のNASAのドラゴンフライ探査ミッションは、タイタン表面に着陸機が到達してから2年間にわたり探査を実施する計画だ。ミッション期間中は、回転翼を持つドローン型離着陸機がタイタンの1日(16地球日に相当)ごとに新たな場所へと飛行し、前生物化学に関する試料を採取する予定。さらには、過去または現在の、水ベースの生命体や、もしいるとすれば液体炭化水素ベースの生命体に由来する化学的なバイオシグネチャー(生命存在指標)の探索、タイタンの活発なメタン循環や大気中と表層上での前生物化学の調査も実施する。
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米ワシントンのNASA本部の科学ミッション局副局長を務めるニッキー・フォックスは「ドラゴンフライは、広範な関係団体の関心を集める壮大な科学ミッションであり、このミッションで次なる段階に進むことができて心が躍る」と話している。「タイタンを探査することで、地球外で回転翼機を使ってできることの境界線が広がるに違いない」

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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