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2024.07.20 09:45

見切り品もDXへ 値下げ品っぽくないのがウリ

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夕方の買い物のピークが過ぎて売れ残った惣菜に、スーパーのお兄さんが値引きシールを貼っていく。その近くで、お目当ての商品にシールが貼られるのを待つ人たち。そんな夜のスーパーの定番となった光景も、ついにDXによって消えてしまうかもしれない。しかし、あの作業はけっこう大変だった。

売れ残った惣菜やお弁当などを売り切るために値引きする作業を「見切り業務」という。そして、あのお兄さんがパチンパチンと貼っているシールを「見切りシール」という。フードロス削減のためには大変に意味のある作業なのだが、それには惣菜部門の約8パーセントの労働力が割かれるという。また、見切りのタイミングも難しい。早すぎれば正規の価格で売れたものを安売りしてしまうことになり、遅ければ売れ残るといった「販売機会ロス」につながる。

山形県を中心に東北地方でスーパーマーケットを展開するヤマザワは、IT戦略コンサルティングやソリューションを提供するBIPROGY(ビプロジー)と共同で、見切り業務をデジタル化するシステムを開発。山形県寒河江市のヤマザワ寒河江西店にて実証実験を行う。
ヤマザワヤマザワ寒河江西店(ヤマザワ公式ホームページより)

ヤマザワヤマザワ寒河江西店(ヤマザワ公式ホームページより)

これまでの見切りシールは、電子棚札とデジタルサイネージに置き換えられる。さらに、老舗の秤メーカー、イシダが提供する計量ラベルプリンター(商品の重さを計測してその場でラベルを発行する装置)と、東芝テックが提供する店舗POSシステムを連携させて、適切なタイミングで値引き表示に切り替えるということだ。

心配なのは、シールと違って目立たない点だ。また表示の変更に戸惑う人もいるだろう。3月に行った第1回目の実証実験では、280人の利用者のうち約7割が、価格表示をすぐに理解できたと答えているが、説明を一度聞けば次からは大丈夫と答えた人が多かったことから、表示の方法に課題も残った。今回は、よりわかりやすい表示方法を使い、購買意欲の変化を検証するという。

BIPROGYは、「フレッシュオプティマイザー」という名称でこのシステムの本年度中の販売を目指している。シールが貼られる前の商品を手に取ってしまった人が、見切り業務中の店員に「これにも貼ってよ」とせがみ、「まあ、いいですよ」と貼ってもらう。スーパーでは極めて希な客と店員との人間的なコミュニケーションがDXによって消えてしまうのは寂しいが、昨今ではそれを悪用して、売り切れる前にカゴに確保しておいた商品にシールを貼れと要求する悪質な客も増えていると聞く。このシステムには、そうした不愉快なトラブルから店員が解放されるメリットもありそうだ。

文 = 金井哲夫

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