現在明らかになっているのは、現行の宇宙論には、どこかに欠陥があるということだ。
さらに、米ミズーリ大学コロンビア校が率いる研究チームがJWSTの深宇宙観測データを用いて行った最新の研究では、宇宙を誕生させた大爆発「ビッグバン」から約20億年後にはすでに、薄い円盤を持つ渦巻銀河が予想以上に多数存在していたことが明らかになった。
天文学誌The Astrophysical Journal Lettersに論文が掲載されたこの研究では、これまでに検出されている最古級の渦巻銀河の一部をJWSTで観測したデータを使用した。分析の結果、これらの初期の銀河が、これまで考えられていたよりも多く見られるだけでなく、局所銀河群(銀河系周辺にある銀河の集団)で見られる形態によく似た、完全に形成された渦状腕や銀河円盤をすでに発達させていたことが判明し、研究チームは驚き、当惑したという。
論文の筆頭執筆者で、ミズーリ大の天文学専攻の大学院生ビッキー・クーンは、取材に応じた電子メールで、渦巻銀河の形成は、これまで考えられていたよりも数十億年早いことが、今回の研究から示唆されると述べている。
調査対象の銀河の30%近くが、宇宙の誕生から20億年以内に、渦状構造をすでに発達させていたことを、ミズーリ大のチームは明らかにした。銀河形成の進行速度が、これまで可能と考えられていたペースをはるかに上回っていただけでなく、渦巻銀河の大半が現在の宇宙年齢の約半分を過ぎた頃に発達したとする従来の理論的枠組みも、修正しなければならなくなる可能性が高い。
論文によると、研究チームは、JWSTの観測プログラム「宇宙進化初期リリース科学サーベイ(CEERS)」から得られたデータを用いて、渦巻銀河を視覚的に特定した。銀河873個のうち、216個が渦状構造を持つことが判明したという。