欧州

2024.07.12 09:30

森の中で孤立したウクライナ軍部隊、70日間ロシア軍を撃退し続ける

命綱になったのは貨物運搬ドローン(無人機)だった。第225強襲大隊は「わたしたちがルートを切り開こうとする間、唯一の補給手段はドローンでした。ドローンで弾薬や糧食、水を運んでもらいました」と説明している。孤立したウクライナ兵を味方のドローン操縦士が救援した事例は最近、ほかにも知られている

ドローンで運ばれるわずかな糧食で生き延びるには、70日間というのは長い時間だ。敵の砲火にさらされるなかではなおさらだ。ソーシャルメディアに投稿された写真の兵士たちは皆、ひげがかなり伸び、軍服が破れている兵士や飢えていたことがうかがわれる兵士もいる。

最終的には第24機械化旅団が、森林を抜けロシア側の陣地を越えるルートを確保し、孤立した部隊を自軍の比較的安全な場所まで護送した。何人かは負傷していた。第225強襲大隊によると陣地はなお保持されており、ルートも塞がれていないという。

驚くべきことに、この救出任務が遂行されたのは、ロシア軍がチャシウヤールの最も外側の地区である運河(カナル)地区の攻略を進めていた時期だった。運河地区はシベルシキードネツ・ドンバス運河の東側に突き出た形になっており、西側にあるチャシウヤール中心部は、一種の自然の防壁となっているこの運河によってロシア軍の攻撃から守られている。

運河地区から西へ退却し、包囲されていた部隊を救出することで、ウクライナ軍の守備隊はチャシウヤール市内と周辺の防御線を整理した。4カ月にわたるチャシウヤール攻防戦は今もなお続いている。

ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は9日の作戦状況評価で、ロシア側がチャシウヤールで突破を図る可能性が最も高いエリアとして、シベルシキードネツ・ドンバス運河を挟んで運河地区の対岸のノビー地区と、市の南を走るT0504幹線道路との間のエリアを挙げている。そのうえで、ロシア側による攻撃開始はウクライナ側が運河とT0504幹線道路の交差するエリアを「引き続き掌握していることによって妨げられている」と指摘している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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