転職した人の経験は、人類学者のKalervo Oberg氏が提唱したU字曲線にそのまま当てはまる。
新しい職場への期待、早く活躍しようという自分への期待が高い状態で入社する。そして、“お客様扱い”でオンボーディング体験をする。早ければ2〜3カ月、遅くても3〜4カ月経つと、違和感を覚え始める。前職と違う、経験を活かしきれない、さらに進むと、思っていたのと違うという感情が生まれ始める。
このカルチャーショック期の「谷」を乗り越え、回復期に向かうことができれば時間の問題で適応期に向かう。未経験の仕事についた場合は、学ぼうとする意識が先に働くので谷は浅く、活かせる経験が多い人ほど谷は深くなる。
転職者のほとんどの人がこれを経験するのだが、実はほとんどの人がそのことに気が付かない。入社して3カ月の人に集まってもらって3カ月間の気持ちを曲線で表現してもらうと多くの人は同じ曲線を描き、そして、みんな同じだと気が付いた瞬間に安堵の表情を浮かべる。その瞬間から少しずつ、カルチャーショック期を抜け出し始めるのだ。
カルチャーショック期を抜け出すには、自分はその中にいることを気が付くことが第一歩になるが、その時に心掛けることは、とにかく人の話を聞くことだ。入社してからしばらくは全体像をつかむまでとにかく聞きまくる。人のこと、会社のこと、現状だけではなく、過去の経緯や失敗なども含めて深堀していく。その上で、自分に何ができるかを考えていく。
手持ちの武器に頼りすぎず、本質を見ることができれば、あなたは適応期に向かっている。決して焦ってはいけない。成果をだすことに近道はないのだ。