働き方

2024.07.10 09:30

夏限定で金曜日が時短や休日に、北米企業の55%が導入

サマーフライデーのメリット

サマーフライデーを実施することには、従業員と企業の双方にとって明確なメリットがある。

・燃え尽き症候群の緩和

従業員が適切なワークライフバランスを保てるよう支援することで、雇用主は、燃え尽き症候群がもたらすさまざまな悪影響を回避する手助けができ、ひいては、従業員の満足度や生産性の維持につながる。金曜日を時短の日とすることで、従業員は英気を養い、個人的な関心事を追求することもできる。その結果、サマーフライデーは士気を高め、他の曜日の生産性を高める効果をもたらす。

実際、Monster(モンスター)が最近実施したアンケートでは、調査対象となった従業員の66%が、夏季の勤務時間短縮制度を利用することで生産性が向上した、と報告している。

・定着率の向上

企業は常に、従業員の満足度を向上させる方法を探している。現在の労働市場が、優秀な人材の争奪戦となっている状況を考えると、サマーフライデーのような柔軟な働き方の選択肢を提供することは、従業員の忠誠心を高めるのに役立つだろう。定着率の向上にもつながるはずだ。

・優秀な人材を引き寄せる呼び水としての効果

報酬以外の要素で、採用候補者が求める勤務条件としてトップクラスにあるのが、働き方の柔軟性だ。従業員は、適切なワークライフバランスを求め、燃え尽きてしまうのを回避したいと考えている。企業は、サマーフライデーという特徴ある制度を提供することで、競合他社との差別化を図り、トップクラスの人材を引きつけることができるだろう。

サマーフライデーのデメリット

サマーフライデーは非常に素晴らしい制度だが、すべての企業にとってメリットがあるとまでは言えない。

・業務の遂行に支障が生じる

サマーフライデー制度のメリットを、すべての企業が享受できるわけではない。対面での顧客対応をメイン業務としている、あるいは、夏季に稼働がピークを迎える企業の場合は、従業員の全員、あるいは大半が職場を離れてしまうと、大きなデメリットが生じるおそれがある。

こうした業種の例としては、小売業、外食産業、運輸業などが挙げられる。加えて、事業の種類を問わず、少人数で運営しているチームでは、人手確保の問題に直面するおそれがある。

・従業員のストレスが増す

一部には、逆効果になったことを理由に、サマーフライデー制度を廃止した企業もある。こうした例では、士気を高めるはずが、従業員たちが、「仕事のノルマをこなすために、金曜日以外の日に、今までより長く働かなくてはならない」というプレッシャーを感じるようになっていた。その結果、日中の勤務時間内に休憩を取ることが難しくなり、かえって従業員のストレスが増したという。

・プロジェクトの進行が遅延する

週あたりの労働時間を短縮すると、プロジェクトが期限までに終わらなくなるリスクが常につきまとう。また、時短制度を導入した場合、中には、金曜日を勤務日だと受け止めない従業員も出てくるかもしれない。こうした者は、後に控えている週末の予定で頭がいっぱいで、職場に来ている午前中も、仕事に手がつかなくなってしまう。

多くの企業で、リモートワークやハイブリッドワークという働き方が定着した今、サマーフライデー制度は今後も生き残るだろうか? 米国の大企業では、週休3日制などの新しい勤務時間制度の導入を検討する企業が3割に達する状況を考えると、この制度が広く一般に導入されるのは時間の問題だろう。その頃には、柔軟な勤務オプションが当たり前のビジネス環境になっているかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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