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宇宙

2024.07.08 18:00

火星の小さな穴、有人探査の大きな鍵となる可能性 生命存在の期待も

火星の火山アルシア山の山腹にある「小さな穴」の画像。2022年8月15日撮影(NASA/JPL-Caltech/UArizona)

火星の表面にある小さな穴の画像が、ソーシャルメディアで広く拡散されている。この穴は、未来の宇宙飛行士を保護するシェルターとなる可能性だけでなく、先が洞窟に通じていて、その中に地球外生命が存在する可能性も示唆されている。

画像の出所

「小さな穴」と題されたこの画像は、2006年から18年にわたり火星を周回探査しているNASAの探査機マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)が2022年8月15日に撮影したもの。今年5月21日に最初にインターネット上で共有された。

画像は米アリゾナ大学が共有したもので、MROに搭載の高解像度カメラHiRISEで撮影した画像を紹介する同大のウェブサイトの今日の1枚(HiPOD)のページに掲載された。HiRISEは、高解像度撮像科学実験装置(High Resolution Imaging Science Experiment)の頭文字を取った名称だ。

火星のタルシス火山地帯の地図。中央にあるのが3つの巨大な楯状火山のタルシス三山で、北からアスクレウス山、パヴォニス山、アルシア山と斜めに並ぶ。この北西に太陽系最大の火山オリンポス山がある(ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum) - Original image data by NASA)

火星のタルシス火山地帯の地図。中央にあるのが3つの巨大な楯状火山のタルシス三山で、北からアスクレウス山、パヴォニス山、アルシア山と斜めに並ぶ。この北西に太陽系最大の火山オリンポス山がある(ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum) - Original image data by NASA)

何が写っているか

この画像に写っているのは、火星の赤道に近いタルシス地域にあるアルシア山の山腹に開いた縦穴だ。アルシア山は、同地域にある死火山となっている3つの巨大な楯状火山のうちの1つ。NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、アルシア山は直径が約450km、標高約20kmで、頂上のカルデラの幅が約120kmにおよぶ。カルデラのみと比較しても、地球にある多くの火山より大きい。

画像の説明文によると、地面の穴は、地質学的に最近の地殻変動や火山活動を反映している可能性がある。また、穴が洞窟に続く入口である場合には、今後の無人探査の対象になる可能性があることが示唆されている。

アルシア山にある縦穴。溶岩洞の天井が1カ所崩壊して形成された穴で、溶岩洞に通じている可能性がある。2020年8月16日にHiRISEで撮影(NASA/JPL-Caltech/UArizona)

アルシア山にある縦穴。溶岩洞の天井が1カ所崩壊して形成された穴で、溶岩洞に通じている可能性がある。2020年8月16日にHiRISEで撮影(NASA/JPL-Caltech/UArizona)

火星の穴に心躍る理由

月や火星の表層下の(特に楯状火山の周辺によく見られる)洞窟や溶岩洞は、宇宙飛行士による調査の候補地となっている。溶岩洞は、地下の溶岩流の流路が空になって形成された。

天文雑誌Astronomyによると、このような地面の割れ目を利用すれば、有害な放射線、極端な温度、微小隕石などから宇宙飛行士を保護することができるだろう。JPLは、生命の痕跡や将来の居住地候補を見つけるために、地球外の洞窟や溶岩洞を探査する方法に関する研究をすでに実施している。
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翻訳=河原稔

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