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「近代マーケティングの父」として世界に広く知られている、ノースウエスタン経営大学院S.C. ジョンソン&サンのフィリップ・コトラー特別教授。1960年代に提唱した「4P」(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)を記した『マーケティング・マネジメント』は世界の大学・大学院で最も読まれた教科書である。もはや生きる“伝説”であるコトラー教授に、これからの「マーケティング」「ビジネスモデル」、そして「日本」について聞いた。

(中略)
―イノベーションとマーケティングの関係をお教えください。
コトラー:(世界的に知られる経営学者の)ピーター・ドラッカー教授は「企業の基本機能はイノベーションとマーケティングしかない」という発言をし、多くの“敵”をつくりました。とくに、製造業界や金融業界の人々は失望しました。
 私はドラッカー氏の発言に同意する部分は大いにありますが、すべてではありません。例えば、ドラッカー氏は「企業が成功するには、消費者が求める新しい製品をつくらなければなりません。これをイノベーションといいます」と発言しています。しかし、私は、それでは十分でないと思います。なぜなら、製品は市場に出なければ意味がないからです。イノベーションが新しい製品をもたらし、マーケティングにより市場に売り出すという役割を果たすのです。

―今回、新しいマーケティング理論を提唱されています。
コトラー:私たちはこれまで「マーケティング3.0」を提唱してきました。製品中心の「マーケティング1.0」から、消費者中心の「マーケティング2.0」、価値主導の「マーケティング3.0」へとマーケティングに大きな変化が起きているというものです。
 多くの方々から“次は何だ”という問いを受けましたが、その答えがやっと見つかりました。
 それが「マーケティング4.0」。「selfactualization(自己実現)」、すなわち、心理学者のA.H.マズローの「欲求5段階説」の最上位にある「自己実現欲求」に焦点を絞ったマーケティングです。
 現在、世界の多くの人々は、食欲などの「生理的欲求」、安全・安定といった「安全欲求」、友人、家族などの「社会的欲求」が満たされ、個々人の欲求を求めるようになりました。「自己実現欲求」とは、どういうことか―。それは「自分たちにもっと注目してほしい」「特別なグループの一員だと認められたい」というだけでなく、「人間としてなりたいものを追求する」「自分が何者かをはっきりと示せるようになりたい」という欲求です。
 つまり、自我、自立から、さらに一歩進んだ、自分の目的とするところを充足できるような自己実現というレベルを求めるようになってきていること。個々人の「自己実現欲求」を満たす製品やサービスへのニーズが台頭するなか、企業はそこにフォーカスしてカスタマイズした製品やサービスを提供すべきだと思います。

―これからどのようなビジネスモデルが必要になるか、お教えください。
コトラー:いわゆる「私」というものは今日、社会的な役割に深く埋もれてしまっており、だからこそ「本物の自己」や「本物の感情」に触れたいという人を数多く見てきています。
 自己実現者は、自己啓発にもっと投資をしたいと思っているのです。彼らは、自己の存在や強い願望のより深い部分に接触するために、(ヒンドゥー教の)僧院や修道院に参列しようとするかもしれない。または、隠れた可能性や強い願望を引き出すために自叙伝を書いたり、精神科医に会ったり、仏教を勉強したりするかもしれない。
 企業は、製品やサービスが顧客の「自己啓発」のための願望を引き出すことができるか――に関心を向ける必要がある。

(以下略、)

フォーブス編集部

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