欧州

2024.06.30 17:00

五輪開幕まで1カ月、セーヌ川で危険水準の汚染検出 一部競技中止の恐れ 

東京五輪の女子10kmマラソンスイミングで金メダルを獲得したアナ・マルセラ・クニャ(ブラジル)は、セーヌ川の水質汚染に関して「懸念がある」とAFPに述べ、「セーヌ川が使用できない場合に備えたB案を用意すべきだ」「この川は泳ぐための場所ではない」との見解を示した。パリ市民の中には、水質汚染が改善されないことへの抗議としてセーヌ川で排泄するよう呼びかける動きも出ている。

マクロン大統領とイダルゴ市長は、水質浄化の取り組みをアピールするため自らセーヌ川で泳ぐと約束している。イダルゴは30日に予定していた遊泳を中止したが、これはその日にフランス総選挙が行われるためであり、川の水質は「いつでも泳げる状態」だと26日に強調。マクロンは、セーヌ川で競技が行われることは五輪の「重要な遺産」になると訴えた。

パリ市が「泳げるセーヌ川」の実現をめざして下水道や雨水処理施設の改修を含む水質浄化の取り組みにこれまで投じてきた公費は、実に15億ドル(約2400億円)に上る。

世界水泳連盟(ワールドアクアティクス)は昨年、セーヌ川の水質が「水泳選手の健康を守るための許容基準を下回ったまま」だと判断し、パリで開催予定だったオープンウォータースイミングのW杯を中止。その際、五輪に向けて「堅牢な緊急時計画を確実に準備する」ために「さらなる作業」が必要なことは明らかだと指摘していた。

英BBCによるとセーヌ川での市民の遊泳は、安全性に問題があるとして1923年から禁止されている。パリの下水設備は単一のシステムで管理されており、大雨が降ると処理能力を超えた下水があふれて川に排出される。パリ市当局は、下水道と衛生設備の更新に加えて浄化活動を進めており、2025年までに屋外水泳場3カ所を開設できるとしている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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