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2024.06.05 15:00

ロシアの影響工作グループがパリ五輪を妨害、生成AI用いた「偽ニュース」発信

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マイクロソフトは米国時間6月2日、ロシアの影響工作グループがオンライン上での偽情報拡散を通じて、パリで開催予定のオリンピックを妨害しようとしていると警告した。

この勢力は、フランスやマクロン大統領、国際オリンピック委員会(IOC)に対して、さまざまな悪意あるキャンペーンを展開しているとマイクロソフトの脅威分析センター(MTAC)は述べている。彼らの目的は、IOCの名声を傷つけて恐怖心を広め、人々の参加意欲を削ぐことにあるという。

マイクロソフトが「Storm-1679(ストーム1679)」および「Storm-1099(ストーム1099)」と呼ぶロシアのグループは、2023年6月以降に五輪に焦点を当てた活動へと移行したという。ストーム1679は、昨年夏に「Olympics Has Fallen」と題した長編映画をオンラインで拡散した。この映画は、人工知能(AI)で生成したトム・クルーズの声を用いてIOCの指導部を批判していた。

このグループはまた、パリ市民がテロを懸念して不動産保険に加入しているという偽のニュース動画に加えて、テロへの懸念から大会のチケットの4分の1が返却されたなどのニュースや、米国のCIAやフランスの当局がテロ攻撃のリスクを警告したなどの偽情報を拡散した。

一方、通称「ドッペルゲンガー」とも呼ばれるストーム1099は、フランスのニュースサイトを装って、IOCの汚職を主張し、大会での暴動の可能性を警告した。さらにフランスの日刊新聞であるル・パリジャン紙や政治ニュース雑誌のル・ポワン誌などを装った偽の記事で、マクロン大統領と政府を批判した。


マイクロソフトは、今後数週間のうちにロシアのグループによるオリンピック関連の悪意ある活動が活発化すると予想しており、現在のフランス語中心の活動が英語やドイツ語などの他の言語にも拡大する可能性が高いと述べている。また、生成AIの使用も増加する見通しという。

「ロシアの工作員は、抗議活動や挑発行為の幻想を作り出すことによって、IOCやフランスの治安部隊への信頼を貶める可能性がある」とマイクロソフトの脅威分析センターのクリント・ワッツは述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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