ヘルスケア

2024.06.29 10:00

マルチビタミンを毎日摂取しても死亡率は下がらない 研究結果

Getty Images

実際に効果のありそうなビタミンは?

マルチビタミンではなく必要なビタミンを個別に摂取することで、何らかの効果が得られるかもしれない。米エール大学医学部は、ビタミンD欠乏症などの患者、特に乳糖不耐症や牛乳アレルギー、脂肪吸収に問題を抱えている場合や皮膚の色が濃くメラニンが多い患者に対し、医師はサプリメントの摂取を推奨していると述べている。ビタミンは妊娠中にも有効だ。非営利医療機関の米メヨクリニックによれば、ビタミンDとカルシウムを含む妊婦用のビタミンを摂取することで、胎児の歯と骨の形成を助けることができるとしている。

マルチビタミンは保健当局に規制されているのか?

米国では、食品医薬品局(FDA)がマルチビタミンやハーブ、ミネラルといった栄養補助食品を規制しているものの、承認しているわけではない。規制の多くは商品が店頭に並んだ後に行われるため、多くの企業はFDAに届け出ることなくマルチビタミンを製造・販売しているのが現状だ。
advertisement

米市場調査会社グランドビュー・リサーチによると、栄養補助食品産業の昨年の売上は、世界全体で約1775億ドル(約28兆5600億円)に上った。この数字は2024~30年にかけて9%増加すると予想されている。

米予防医療専門委員会(USPSTF)が2021年に行った研究では、マルチビタミンを摂取しても、がんや心臓病の発症率が下がらないことが示された。同研究では、多くのマルチビタミンに含まれている鉄のサプリメントを摂取すると鉄過剰症になりやすく、糖尿病や認知症、心臓病の発症率が高まる恐れがあることも明らかになった。同委員会は翌年、ビタミンやミネラルのサプリメントには「ほとんど有益性がない」と結論付け、心血管疾患やがんの予防を目的としてベータカロチンやビタミンEのサプリメントを摂取しないよう勧告している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事


advertisement