サイエンス

2024.06.30 16:00

通信速度を遅延させ、視聴中の動画を98%の精度で特定するハッキング方法

これは、ちょっと気味が悪いどころの話ではない。攻撃は完全に受動的で遠隔的なものでありながら、ユーザーがどの動画を見ているか、どんなウェブサイトにアクセスしているのかを、さまざまな精度で特定することができる。より不気味なのが、容易な対処方法がない点だ。攻撃を回避するためにインターネット接続の速度を低下させて、ノイズを発生させなければならないというのはほとんどのユーザーにとって受け入れがたいものだ。「根本的な原因を除去することは不可能で、満足できる解決方法を見つけるためにはさらなる研究が必要です」と論文では語られている。

この攻撃は世に出回っているものではないが……

幸いな点は、これが実験室ベースの研究目的のみの「脅威」であることだ。しかし「ほとんどのインターネット接続が影響を受けると考えていますと研究チームはいう。

SnailLoadの学習とテストに用いられたサンプルセットが、わずか10件のインターネット接続からなる非常に小規模なものあるという事実も、現時点で心配しすぎる必要がない理由の1つだ。そのことは、ユーザーが何を見たか何を利用したかをSnailLoadが分析、特定するためには、動画(研究ではYouTubeを利用)の「フィンガープリント」が必要であることによっても強調されている。現時点では、現実世界のシナリオでこの手法が悪用されることは考えにくい。

Synopsys Software Integrity Groupのシニアセキュリティエンジニアであるボリス・シポトは「この潜在的な攻撃は、攻撃ベクトルが広範囲に及ぶ可能性を示しています」と述べている。「ユーザーのデバイスを望まないのぞき見から守るという仕事をしているセキュリティ担当者に、大きなストレスを与えています」。シポトはまた、私たちの知らないところで、同様の攻撃ベクトルがすでに使われている可能性があると警告している。

forbes.com 原文

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