一部のプレイヤーは、DLCでは敵ボスの長いコンボ攻撃が多すぎると指摘している。敵による一連の攻撃が非常に長く、こちらの攻撃のタイミングを見計らうのが大変すぎるというのだ。
また、『ELDEN RING』ではファンベースが急激に拡大したことも特筆すべきだろう。2300万本以上を販売した同作は、フロム・ソフトウェア史上最大のヒット作だ。もともといたハードコアゲーマー以外のファンも増えていることから、DLCの強力なボスはフロム・ソフトウェア初心者にはレベルが高すぎたのかもしれない。
面白いことに、同作のクリエイターである宮崎英高は過去のインタビューで、「ドM(マゾヒスト)」を自称し、「自分だったらこう殺されたい」ということを考えながらゲームを作っていると語っている。宮崎は今回のDLC発売にあたり行われた英紙ガーディアンのインタビューで、難易度を高くしたのは意図的なものだったと説明した。「世界中の人たちにゲームをプレイしてもらいたければ、難易度をどんどん下げていけばいいのだが、それは正しいアプローチではなかった。難易度を下げることは、ゲームから喜びを奪うことになり、私に言わせればゲーム自体を壊すことになる」
フロム・ソフトウェアのゲームは難しすぎるのか?
『DARK SOULS』の1と2、そして『ELDEN RING』の大ファンである筆者に言わせてれば、その答えは「イエス」だ。これらのゲームは難しすぎて、自分もクリアに恥ずかしいくらい多くの時間を費やしてきた。もちろん、高い難易度は大きな魅力の一つだ。最初は無理だと思ったボスを倒せたときの達成感は非常に大きい。しかし私は、これらのゲームの真の魅力は、戦闘システムの並外れた奥深さと、ストーリーに対する独特のアプローチだと思っている(ストーリーの根幹部分や詳細な背景は謎めいたヒントの数々によって隠されており、完全な謎のままとなる部分も多い)。
これらのゲームの難易度は、フロム・ソフトウェアの卓越したアートディレクションを享受する妨げになることもある。私はたまには、自分に向かって突進してくるアンデッドとの目まぐるしいバトルに興じることなく、ただその世界の中に没入したいとも思う。
用意すべきなのは、「イージーモード」よりも「平和モード」かもしれない。フロム・ソフトウェアのユニークなキャラクターデザインは、アドレナリンに満ちたゲームプレイの中で見逃されてしまうことが多い。プレイヤーは一度死ぬと最後のチェックポイントからの長い道のりを繰り返さなければならないため、とにかく生き延びることに必死だ。
『ELDEN RING』は敵のグループが広大なフィールド内を徘徊しており、プレイヤーは時に、その世界に静かに浸ることもできる。だがそんな時は決まって、あなたの存在に気づいたモンスターが憎しみに満ちた金切り声を上げ、その静寂が破られるのだ。
一度でいいから、フロム・ソフトウェアがつくる荒涼とした世界を、あの憎き「YOU DIED」というメッセージを見ずに探検したいものだ。
(forbes.com 原文)