爆撃機から爆弾を3発投下できれば、目標に直撃させられるチャンスを3回得られる。これによって爆弾1発の不正確さをある程度補い、精密爆撃の精度を高められる。「なぜ3発の(FAB-)1500を(爆撃機に)吊るして使わないのか」とFighterbomberは疑問を呈している。「合理的な理由は見当たらない」
だが、合理的ではない理由ならありそうだ。巨大で威圧的な3tの爆弾は、戦場での兵器として以上にプロパガンダの手段として役に立つかもしれない。Fighterbomberは「新たなミラクル兵器の創出に携わった人たちは顕彰ラッシュとなるだろう」と皮肉交じりに予想している。
プロパガンダ目的での航空爆弾の使用ということなら、前例もある。2017年、米空軍はアフガニスタンで「イスラム国(IS)」の施設に、重量10t近くの大規模爆風爆弾(MOAB)、通称「すべての爆弾の母」を投下した。目標に対してあまりに過剰な兵器の使用だったが、あえてそうしたのだろう。事実、米国防総省は爆撃時の動画を公表して拡散させた。残りのIS戦闘員に対する警告が狙いだったと考えられる。
FAB-3000の生産数はそれほど多くなかったらしいので、現在の使用ペースなら近いうちに在庫が尽きるかもしれない。ロシア空軍がFAB-3000型滑空爆弾をしばらく使い続けたとしても、いずれ、より効率的なFAB-1500型の滑空爆弾の使用に戻るだろう。
もっとも、これらの滑空爆弾が有効な時期はそう長く続かないかもしれない。ロシア軍機から1日100発発射されている滑空爆弾による被害を抑えることに懸命なウクライナ軍は、滑空爆弾と衛星間の通信を妨害するジャマー(電波妨害装置)の配備を増やし、その性能も向上させている。
Fighterbomberも「電子戦が勝利しつつあり、(滑空爆弾の)命中精度は落ちてきている」と認め、安価な衛星誘導システムを備えた滑空爆弾の時代は終わりつつあるとの認識を示している。
(forbes.com 原文)