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2024.07.11 15:15

続・徹底ルポ「40代後半で卵子凍結」 採卵、卵2個保管そして

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不妊に関する保険治療には、年齢によって制限がある。体外受精、顕微授精は40歳未満で6回まで、43歳未満で3回までがその対象だ。さらには「43歳を超えると保険は適用されない」。見直しが今年「診療報酬改定」で議論されたが、制度変更は見送られた。「不妊治療は43歳を超えると成功率が5%以下に低下」することがその主な根拠だった(参考)。

そんななか、外資系企業を中心に昨今、不妊治療の費用を年齢にかかわらず一定の上限まで拠出してくれる福利制度を設ける企業がある。以下は、この制度をきっかけに卵子凍結にふみきった外資系企業勤務、東京在住の40代後半の女性によるルポルタージュである。

前編の医師には反対されても。40代後半で挑んだ卵子凍結を克明ルポでは、初診の後生理2日目の受診、服薬指示、その約1週間後の受診で「卵が3つ育ってます」と告げられ、採卵日が決まるまでをルポした。

後編ではついに採卵、そして……を綴る。


採卵2日前は夜中に2回、時間かっきりに薬を点鼻


採卵日が決まった4回目の診察の日、その日と次の日(採卵前日)にはやることが時間とともに指示された。採卵2日前に当たる夜には、点鼻薬を2回(午後11時半と、夜中の12時に1回ずつ)。診察の後に薬の説明をしていただいた看護師さんによると、採卵時間から逆算してこの時間に薬を使う、と決まっているので、アラームをかけて、指定された時間にかっきりに点鼻することが必要だという。万が一忘れたら午前1時までにやり直して、それができなかったら次の日朝イチで来院して、さらに卵の状態を調べ、手術の日は仕切り直しになる。

私は指示通りにアラームをかけ、点鼻を左右とも2回確実に行った。この点鼻薬は、自然周期による排卵を抑えつつ、卵胞を成熟させるためのものであるという。12時きっかりに点鼻を行ったあと、気持ちの高揚からすぐには寝られず、午前1時近くに床についた。
採卵2日前の夜中に2回点鼻したスプレー

採卵2日前の夜中に2回点鼻したスプレー

次の日、採卵前日。点鼻薬は無しだが、8時と18時に、卵巣から卵を出にくくするという薬を服用する。この薬は、点鼻薬ほどタイムセンシティブではないので、朝食の後と、仕事終わりにだいたいの指定時間通りに服用。食べ物やアルコールに特に制限はなかったので、普段通りの食事をして、夜は早めにふとんに入った。
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文=高以良潤子 編集=石井節子

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