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2024.07.11 15:15

続・徹底ルポ「40代後半で卵子凍結」 採卵、卵2個保管そして

採卵当日は朝イチに、すっぴんで来院。採卵はものの数分で完了

そして迎えた採卵当日。朝は絶食で、水のみを採卵の2時間前まで飲んでも良いという。来院時間が午前10時だったので、8時までにペットボトル500mlを飲み切った。このほか、採卵日には化粧は一切しない(手術中に顔色を確認できるようにするため)、下地も、トーンアップするタイプのものはせずに来院すること、また、爪は短く切ること、マニキュアは落とすこと、など、身支度的な指示も複数あった。

チェックイン時間である10時より10分ほど早い時間に来院し、通常の診察とは違うフロアに案内されて、手術着に着替え、名札付きの個室(写真)の待合室で待機。腕時計や身の回りのもの、洋服や下着などはすべてロッカーにしまう。

個室待合室のリクライニング機能付き椅子

個室待合室のリクライニング機能付き椅子

待合室のリクライニングのきく椅子で待っていると、痛いんだろうか、すぐ終わるんだろうか、という考えが頭をぐるぐると回る。とはいえ待ち時間は30分もなく、10時半より前に看護師の方が呼びにきてくれて、処置室へ。

2日前に診察し、採卵日を決めてくれた担当医師が来るのを待つ。数分で登場した医師は、診察の時のような柔らかい感じはなく、きわめて集中した感じで、コミュニケーションもミニマムな感じ。無駄話はなく、淡々と、「ちくっとしますよ」などの言葉かけがあるのみ。システマティックに、ベルトコンベア上での機械的な作業のように、右と左の卵に針を刺していく。

坐薬の痛み止めを看護師さんが入れてくれたせいもあってか、麻酔なしだったのだが、コロナワクチンの注射よりも痛くないような、鈍痛が数秒、左右ともに続くような感じだった。開始から終了まで、採卵の数が少なかったことで、ものの数分。あっけないくらいあっという間に終わった。

その後待合室に戻り、着替えを済ませ、医師からの説明を待つ。30分もしないうちに処置室とは別にある診察室に呼ばれ、3つとった卵のうち1つが空の卵だったので、2つを凍結した、というブリーフィングを受けた。もしさらに凍結したければ、次の生理が来た時にまた診察に来てください、とのこと。この日は、卵子凍結の保管費用一年分を含め、17万円弱の支払額だった。ここまでの総支払額は24万円程度となる。
凍結された卵子2個

凍結された卵子2個

凍結した卵子2個で満足するのか、またやるか

理事長氏から(年齢を鑑みるに)取れても1回に1個です、と説明されていたことを考えると、卵が3個育っていて、2個凍結できたというのは、比較的ラッキーなのかもしれない。だからといって、この個数では妊娠に十分な個数ではない。では、さらに次の生理周期で卵子凍結を再度行うのか?

卵子凍結をやってみよう、と思った時と比べて、ある程度知識は増えた。実際に凍結までやって、経験もした。感情的にもジェットコースターに乗っている気分にもなった。何個凍結したいのか、凍結した卵子を使って本当にいつか妊娠したいのか、ここ数年のうちにそれが、万が一成功したとしてその子どもが成人して大学を出る頃には私は70代になっている、それを望むのか?……。

結果的に、卵子凍結自体をしたいかどうかに関する質問に対する答えは、すでに実施したわけなのでイエス、となったのだが、それに付随する新たな質問が次々現れてしまい、結局のところ、自分の中で何か結論が出たわけではない、という状態となった。
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文=高以良潤子 編集=石井節子

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