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2024.06.22 09:45

視力回復訓練にはアルファー波の向上が効果的

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近視や老眼は、眼球の機能によるものとは別に、中枢神経の情報処理能力の低下によるものがある。眼球の機能改善は物理的な矯正に頼るしかないが、ある程度は脳を鍛えれば視力回復が見込まれるということだ。そのひとつの方法に、ぼやけた縞模様を読み取る「ガボールパッチ・トレーニング」というものがある。その効果を、脳波を調整して大幅に高める方法が開発された。

ウェアラブル脳波計の開発販売を行うVIE(ヴィー)は、脳神経活動を測定するニューロフィードバック(NF)を利用して事前に脳のアルファー波を高める訓練をしておくと、トレーニング(知覚学習)の効果が飛躍的に高まることを実験で実証した。ガボールパッチ・トレーニングは、ぼやけた縞模様をいくつも見続ける単調な訓練で、効果が表れるまでには数カ月間がんばらないといけないのだが、VIEの方式ではうんと短い時間で効果が示された。

実験では、被験者はウェアラブル脳波計を装着してアルファー波を高める訓練を行い、ガボールパッチ・トレーニングを実施した。比較のために、もうひとつのグループはアルファー波訓練の時間と同じ長さの動画を見てもらった。

実験は、2週にわたって30分ほどのセッションを4回行った。セッションの前後にランドルト環を使った視力検査を行ったが、4回目の後には初回とくらべて視力が0.16向上していた。これは、通常のトレーニングなら2カ月にわたり45分のセッションを8日間行った場合に匹敵する。また、NFを行ったグループではコントラスト感度が向上し、知覚学習効果の低下が少ないこともわかった。

今回の実験では近視の人を対象に行ったが、ガボールパッチ・トレーニングは老眼にも有効だとされている。そのためのアプリは数多くあるが、脳波のコントロールと組み合わせて効果を高める装置の登場が望まれる。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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