マイクロソフトのような企業も、AIデータセンターにSMRを使用する計画を立てており、同社の創業者のビル・ゲイツが会長を務めるTerraPower(テラパワー)は、溶融塩ベースのエネルギー貯蔵システムを備えたナトリウム冷却炉を開発した。
また、OpenAIのサム・アルトマンも、次世代原発の開発企業で5月に上場したOklo(オクロ)に加えて、核融合発電を手掛けるスタートアップのHelion(ヘリオン)を支援している。核融合を用いた発電は、核廃棄物を出さない点がメリットだが、商業的に実現可能になるのは、2030年以降になると見られている。
コンテナで運べる「マイクロ原子炉」
一方、SMRよりもさらに小型の「マイクロリアクター」と呼ばれる原子炉を用いた発電ユニットを計画中のスタートアップも存在する(米国では、電気出力300MWe以下の軽水炉をSMRと定義し、これよりも容量が小さい20MWe以下のものをマイクロリアクターと呼んでいる)。ロサンゼルスに拠点を置くRadiant Industries(レイディアント・インダストリーズ)は、トラックや飛行機で工場から直接出荷できる1メガワットの「ポータブル式の原子力発電ユニット」の販売を計画している。同社が開発したマイクロリアクターは、ディーゼル発電機の代替として、あるいは必要に応じてデータセンターに追加のエネルギーを供給するために使用可能だ。
「当社のシステムは、1つのコンテナで届き、設置して電源を入れるだけで使用可能です」と、同社のCEOのダグ・バーナウアーはフォーブスに語った。「つまり、データセンターで急に追加の電力が必要になった場合でも、それに対応できるということです。過疎地やマイクログリッドにデータセンターを設置したい場合にも、非常に適しているかもしれません。ユニットの設置からフルパワーまでにかかる時間はわずか2~3日です」
元スペースXの社員のバーナウアーが設立したレイディアントは、アンドリーセン・ホロウィッツの主導で6000万ドル(約94億円)を調達しており、アイダホ国立研究所での試験が順調に進めば、数年以内に商業用ユニットの出荷を開始したいと考えている。