ビル・ゲイツのテラパワー社が「次世代型原発」の建設開始へ

ビル・ゲイツ(Shutterstock.com)

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ビル・ゲイツが設立したTerraPower(テラパワー)社の次世代原子力発電所の建設が、6月にワイオミング州ケムメラーで始まると英フィナンシャル・タイムズ紙が3月19日に報じた。同社はコストを抑えた効率的な原子炉で競争が激しい原子力発電分野に乗り込もうとしている。

この実証プラントには、水ではなく液体ナトリウムで冷却され、溶融塩ベースのエネルギー貯蔵システムを備えたナトリウム冷却炉が設置される。この原子炉は、従来の原子炉と比べて安全で高効率な原子炉だとされており、プラントの建設コストは水冷式の原子炉を持つ原子力発電所の半分程度だとされている。

この原子炉の出力は345メガワットで、必要に応じて40万世帯の電力需要を満たす500メガワットに増強して5時間半以上の運転が可能という。

テラパワーは、アラブ首長国連邦へのナトリウム冷却炉の輸出に向けてエミレーツ・ニュークリア・エナジー社との契約に合意した。また、今回のプラント建設のために米政府から最大20億ドルと民間からの約10億ドルの出資の約束を取り付けた。

このプロジェクトは2030年に完成する予定で、1600人の建設雇用を創出し、250人のフルタイム従業員を現地で雇用する予定という。

テラパワーとパートナー企業のパシフィコープは2022年に「2035年までに5基のナトリウム冷却炉を利用する可能性を探る」と述べていた。フィナンシャル・タイムズによると、テラパワーがこの原発で発電した電力の価格は不明という。同社は、フォーブスからのコメント要請に即座に応じなかった。

ケムメラーの人口は約2400人で、このプラントは間もなく操業を停止する石炭施設の近くに位置している。

ゲイツは気候変動と闘い、安全で費用対効果の高い原子炉を開発することを目標に2008年にテラパワーを設立した。同社は2022年に8億3000万ドル(約1250億円)を調達し、競合のNuScale Power(ニュースケール・パワー)らと並んで、小型で最先端の原子炉を開発し輸出しようとする米国政府の動きに関与するようになった。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、米国政府は小型モジュール炉の輸出に関して、他国と数十年にわたる協定を結ぼうとしている。原子力関連のスタートアップ企業ラスト・エナジーのCEOのブレット・クーゲルマスは、WSJの取材に「米国の同盟国が、エネルギー関連でロシアや中国などの潜在的な敵対国に頼ることがあってはならない」と述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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