メディア戦略も影響
主にその機能性と履きやすいデザインによって人気を集めてきた「アグリー」なシューズだが、ブランドなかには、著名人とのスポンサー契約やメディアへの露出によって、魅力を高めてきたものもある。映画『バービー』で主役のバービーを演じたマーゴット・ロビーが履いたビルケンシュトックのサンダル「アリゾナ」は、同作の公開以降、検索数が急増。メディアインパクト・バリューも急騰した。
そのほか、必ずしも「快適」とはいえないシューズでも、その「アグリーさ」が利益につながる場合がある。クロックスが2024年4月、ポテトチップスのプリングルズとのコラボでローンチ、即完売した奇抜なデザインのコレクションは、「快適」というよりただ「映える」だけのものだったといえる。
また、クロックスがブルックリンを拠点とするアート集団MSCHF (ミスチーフ)と2023年に発売した赤と黄色のビッグブーツは、ラッパーのリル・ウェインや歌手のシアラ、さらにはピンヒールのシューズを愛用することで知られるヴィクトリア・ベッカムなど、数々のセレブリティの支持を得て、実用的ではないデザインと350~450ドル(約5万5000~7万円)という高額にもかかわらず、すぐに完売した。
単なる「アグリー」は支持されない
ただ、「アグリー」ならばすべてのシューズが市場の期待を上回るわけではない。2022年にクロックスが買収したHeyDude(ヘイデュード)は、直近の決算で減収を報告。通年の業績見通しも下方修正している。前出のサンダースは、同社は「スタイルと快適さの適正なバランスを取ることに失敗した」と述べている。
「そこには容易には捉えにくい美と洗練がある。ヘイデュードは、それを理解できていないようだ」
(forbes.com 原文)