宇宙

2024.06.08 18:00

太陽系初期の理解を一変させるNASA「小惑星ベンヌ」の試料

豊富なアミノ酸

ローレッタによると、ベンヌのサンプルから、生物が利用する20種類のアミノ酸のうちの13種類が見つかった。

残りの7種類については、どうだろうか。

現時点ではまだ排除できず、現在の検出限界以下だった可能性があると、ローレッタは指摘した。また、DNAに用いられている遺伝暗号の文字に相当する4種類の核酸塩基もすべて見つかった。このことは、これらの化合物が有機物を多く含む炭素質小惑星から地球にもたらされたことを意味していると、ローレッタは説明する。

NASAのキュレーション施設で、オシリス・レックス(OSIRIS-REx)小惑星探査機の試料採取装置TAGSAMから取り出された試料容器(キャニスター)を専用ボックス内に収容している様子(NASA/ Kimberly Allums)

NASAのキュレーション施設で、オシリス・レックス(OSIRIS-REx)小惑星探査機の試料採取装置TAGSAMから取り出された試料容器(キャニスター)を専用ボックス内に収容している様子(NASA/ Kimberly Allums)

もし何らかの種類の微化石や、過去の生命の痕跡が含まれていれば、サンプル中から発見できるかもしれない。

分析チームは、その点に対して特に注意を払っているが、生命の起源を理解する上で、根本的な何かが見逃されていると、ローレッタは指摘している。単なる地質学的物質から、生きているものへと移行するために何が起こるかを、ローレッタは特に知りたいと考えている。さらには、なぜ分子が自己組織化して、保存本能と周囲の環境への対応能力を兼ね備えた生命体になるのかについても、頭を悩ませているという。

オシリス・レックスに関しては、どうだろうか。

NASAによると、サンプルリターンのカプセルを地球大気圏に向けて放出してから約20分後にエンジンを噴射させ、新たなミッションに出発した。「オシリス・アペックス(OSIRIS-APEX)」に改名された探査機は、2029年に小惑星アポフィスに到着する予定だ。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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