北米

2024.06.07 13:00

ドル円相場にも影響大、「6月FOMC」の注目ポイント

Kevin Dietsch/Getty Images

次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)は米国時間6月11日と12日に開催される予定だ。今回の会合で利下げを実施する可能性は低いと予想されるものの、債券市場は2024年の利下げの可能性に関する手がかりを探すことだろう。現在のところ、年内に1回または2回の利下げが最も可能性の高いシナリオと見られているが、今回のFOMCでは「経済見通し(通称、SEP)」が更新され、年末の金利水準についての彼らの見方が明らかになる。

現在の状況

FOMCが米国の政策金利であるFF金利(フェデラル・ファンド金利)を2023年7月に現在の目標レンジである5.25〜5.5%に引き上げてから約1年が経過した。それ以来、金利は安定的に維持され、全体としてさらなるディスインフレ(物価上昇率の低下)が見られた。しかし、FRBのクリストファー・ウォラー理事が5月21日にピーターソン国際経済研究所で行った講演によると、2024年第1四半期にはインフレ率が比較的上昇したとの報告もあり、当時の利下げの可能性に「冷や水を浴びせた」しかし、同講演のなかでウォラー理事は次のような楽観的な見方も示した。

「最新の消費者物価指数(CPI)は、インフレが加速していないことを示す心強いシグナルだった」

さらに、FOMCのメンバーも、雇用市場の低迷が金利の引き下げを引き起こす可能性を示唆している。しかし、これまでのところ、FOMCの見解では雇用市場はおおむね堅調を維持している。

金利への期待

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールによれば、6月12日の利下げ確率はわずか0.1%と予測されている。また、予測市場プラットフォームのKalshiでは現在、6月のFOMCで金利が据え置かれる確率を99%としている。

3月20日に行われたFOMCの経済見通しの最終更新では、2024年に2回または3回の利下げが行われるのが最も可能性の高いシナリオだと予想していた。しかし、それ以降、雇用情勢が比較的堅調であり、ディスインフレの進展も遅れていることから、FOMCは金利引き上げや据え置きにやや傾いているようだ。

今後の注目点

FOMCの6月会合で金利が変更される可能性は極めて低いが、市場は2024年後半に金利がどこに動くかのシグナルを注意深く見守るだろう。
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翻訳=江津拓哉

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