北米

2024.05.31 10:00

米住宅価格が9カ月連続で過去最高、金利低下見通しと供給不足で

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全米の住宅価格は、住宅ローン金利の緩やかな低下や住宅の供給不足を受けて上昇し、3月に過去最高を記録したことが、最新のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(季節調整済み、以下ケース・シラー住宅指数)で示された。

5月28日の最新データによると、3月の米20都市の住宅価格指数の上昇率は前年同月比6.5%で、2月の上昇率の6.4%を上回った。同指数は、2023年6月から9カ月連続で過去最高を更新した。

3月の主要10都市圏の住宅価格の伸び率は8.2%で、2月の伸び率の8.1%を上回った。さらに、20の大都市の伸び率も前年同月比7.4%となり、2月の伸び率の7.3%を上回った。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスでコモディティ部門の責任者を務めるブライアン・ルークは、「どちらの指数も再び過去最高値に達した」と述べている。

主要20都市圏で最も高い上昇率を記録したのはカリフォルニア州のサンディエゴで、昨年から11.1%上昇した。これに続くのはニューヨーク(9.2%)、クリーブランド(8.8%)、ロサンゼルス(8.8%)などで、「都市圏の需要の高さを示している」とルークは述べている。

人口が多いニューヨークとロサンゼルスの2大都市は、20都市住宅価格指数の約30%を占めており、2020年以降の全国平均の上昇率の9.9%に並ぶ大幅な回復を見せている。

ケース・シラーのデータによると、サンフランシスコとシアトルの住宅価格は2022年5月の最高値をまだ下回っているものの、直近の月次の上昇率は最高値を記録し、これらの都市の住宅市場が回復していることを示している。

ポートランドとデンバーの年間上昇率は2.2%と2.1%と最も低く、次いでミネアポリスとダラスがそれぞれ3.3%と3.6%を記録していた。

3月上旬の住宅価格の上昇の背景には、米連邦準備理事会(FRB)による金利の引き下げへの楽観的な見方とともに、住宅の在庫不足が続いていることが挙げられる。米住宅都市開発省によると、3月の新築住宅の着工件数は前年同月比4.3%減だった。米北東部の住宅着工数は前年比で5.7%減少し、その結果、この地域での住宅価格は前年から8.3%上昇して、「トップ・パフォーマー」となった。また、それとは逆に、タンパやフェニックス、ダラスを含むサンベルト地域の住宅価格は、2020年と2021年に「トップクラスのパフォーマンス」を示したが、現在は住宅建設の急増により伸び率が鈍化している。

不動産サイトのRedfin(レッドフィン)が4月に発表したレポートによると、これらの地域は急増する需要を満たすために近年「大量の新築アパート」を建設し、それが価格の改善につながったという。「パンデミックはサンベルト地域の価格を押し上げたが、ここ2、3年で大きく伸びたのは北部の都市だった」とルークは述べている。
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編集=上田裕資

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