宇宙

2024.06.01 17:00

地球外文明がテラフォーミングを行なう「全球凍結」惑星の検出目指す天文学者

全球凍結状態の「スノーボールアース」を描いた想像図(NASA)

最も重要なのは、他の科学的な疑問に答える目的で系外惑星の特徴を明らかにする中で、この種の例外を探すことだと、シュウィーターマンは指摘している。すなわち、岩石質の系外惑星全般について知るために惑星のスペクトルを分析する中で、こうした指標を注意して探した方がよいと、シュウィーターマンは続けた。
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研究チームはコンピューターモデルを用いて、気候の改造に関連するガスの濃度を変化させ、地球型惑星の現実的な惑星スペクトルのシミュレーションを行った。中赤外域の赤外線の吸収能力が高い化合物は、強力な温室効果ガスになる。

シュウィーターマンによると、ヘキサフルオロエタン(分子式:C2F6)は100年にわたり、二酸化炭素(CO2)の1万倍もの温室効果能力を持つ。六フッ化硫黄(SF6)の温室効果能力は、100年にわたってCO2の2万3500倍にも及ぶ。これらのガスは化学的に不活性なため、オゾン層破壊のような有害な影響を及ぼさないという。

また、環境中に長期間残留し、寿命(大気中の残留時間)が1000年以上に及ぶ。最初に調査すべき場所は、地球からの距離が約40光年と比較的近くにある恒星系「トラピスト1(Trappist-1)」の惑星かもしれない。
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「太陽系2.0」トラピスト1の岩石惑星 ウェッブ望遠鏡による観測結果


トラピスト1(TRAPPIST-1)星系と木星の衛星系(上)と太陽系の内惑星(下)との比較図。トラピスト1の軌道は25倍に拡大されており、実際の大きさは下図の太陽系内に水色で示された部分(NASA/JPL-Caltech/R. Hurt, T. Pyle (IPAC) )

トラピスト1(TRAPPIST-1)星系と木星の衛星系(上)と太陽系の内惑星(下)との比較図。トラピスト1の軌道は25倍に拡大されており、実際の大きさは下図の太陽系内に水色で示された部分(NASA/JPL-Caltech/R. Hurt, T. Pyle (IPAC) )

シュウィーターマンによると、研究チームはトラピスト1星系の惑星「トラピスト1f」がテラフォーミングを施された大気を持つと仮定したシミュレーションを行い、大気中に含まれる種々の温室効果ガスを検出可能かどうかを調べた。トラピスト1fが選ばれた理由は、主星トラピスト1のハビタブルゾーン(生命生存可能領域)の外側に位置しているため、地球が太陽から受ける放射エネルギーの35%しか受けていないからだ。特定の気体や気体の組み合わせによっては、1~100ppm(1ppmは体積比で100万分の1)の濃度の合成温室効果ガスを、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で検出できるかもしれないと、シュウィーターマンは説明している。

テラフォーミングされた惑星は奇妙で目を引く

テラフォーミングされた惑星は、赤外線で「奇妙」に見えるだろうと、シュウィーターマンは指摘している。中赤外透過分光法では本来より大きく見え、熱放射では本来より低温に見えるだろう。
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翻訳=河原稔

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