経営・戦略

2024.05.30 13:00

OpenAIとPwCが大型提携、米英で法人向けChatGPTの再販を委託

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大手会計事務所のPwC(プライスウォーターハウスクーパース)は米国時間5月29日、OpenAIとの大規模な契約を発表した。この契約により、PwCは他の企業向けにChatGPTの再販を行うパートナーとなるのに加え、OpenAI製ビジネスソフトウェアの最大のユーザーとなる。

PwCは、同社の英国及び米国法人がOpenAIとの契約で、ビジネス向けチャットボットのChatGPT Enterpriseの最初の再販業者となることを明らかにした。

マイクロソフトが支援するOpenAIは、大企業のオペレーションを改善するためのツールとして、ChatGPTのビジネス向けエディションを昨年夏に立ち上げた。今回の契約が発表される以前は、ビジネス版を利用したい企業は、OpenAIに直接連絡を取る必要があった。

また、PwCはこの契約によってOpenAIが提供するビジネスソフトウェアの最大のユーザーとなる。世界4大会計事務所の1社である同社は、英国と米国の社員が「最も強力なバージョンのChatGPT」にアクセスできるようになると述べている。

これにより、10万人の社員がこのツールを利用することになり、その4分の3が米国の社員だとされている。同社は、税務申告書類の確認やソフトウェア開発、レポート作成などの業務の支援を行うカスタムAIツールの開発を進めていると発表した。

PwCはOpenAIとの契約条件については明らかにしていない。

PwCの米国法人は昨年4月、3年間で10億ドル(約1570億円)を生成AIに投資し、税務や監査、コンサルティングといったサービスの強化を図ると発表していた。

近年の生成AIの進歩によって、職場に新たな可能性が開け、作業の効率化やこれまで自動化の影響を受けないと考えられていた一部のホワイトカラー職の代替さえも可能になると予想されている。

OpenAIが2022年にChatGPTをリリースして以降、生成AIの導入は加速し、アンソロピックのような新興企業や、グーグル、メタ、アマゾンなどのハイテク大手がこの分野に参入し、一般向けのモデルに加えて、より高度なビジネス向けバージョンをリリースしている。

PwCは、生成AIの有用性を示すユースケースは急速に増加しており、「すでに3000件以上の活用事例を自社内で特定できた」としている。同社は、それらの事例がビジネスにおける「エンドツーエンドの変革」を推進するもので、顧客に対し多様なアプリケーションを提供できることを示していると述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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