「どの選択肢も、課題はあるが航空機からCO2を削減する有効な方法になるポテンシャルがあり、我々はその全てについて研究している」とモチドロワーは述べた。
都市部の空を変えるeVTOLでの成功も
エンブラエル・エックスにとって、これまでで最大の成功はeVTOLの開発を手掛け、同社からスピンオフしたEve Air Mobility(イブ・エアー・モビリティ)だ。同社は、2022年にニューヨーク証券取引所に株式上場を果たすなど、重要なマイルストーンを達成している。モチドロワーによると、最初のプロトタイプはサンパウロから約140キロ離れたタウバテにあるエンブラエルの工場で年内に生産される予定だ。イブ・エアー・モビリティは、既に3000機近くを受注しているという。モチドロワーは、本格稼働すれば、サンパウロなどの大都市では500機ものeVTOLが空を飛ぶことになると推測している。「現在、同時に運航できるヘリコプターが最大12機であることと比較すると、この数字の大きさがわかるだろう」と彼は言う。
イブ・エアー・モビリティをスピンオフさせた今、エンブラエル・エックスは他のプロジェクトに注力している。その中には、都市部での航空交通管理に対処することを目的としたソフトウェア、Vector(ベクター)の開発も含まれている。「ベクターは、eVTOLと並行して開発しており、独自の市場を持つことになる」とモチドロワーは言う。
同社が重点的に取り組んでいるもう1つの分野が、航空機メンテナンスのマッチングサービスであるBeacon(ビーコン)だ。ビーコンは、整備士と航空会社をマッチングし、航空機の整備に関する問題を効率的に解決するデジタル・ソリューションだ。
モチドロワーは、エンブラエル・エックスの目標を達成する上で最大の課題は、社内文化を転換させることだと指摘する。彼は、優秀な社員の育成と先進的な考え方を持つことに加え、革新的なアプローチとエンブラエルの伝統を組み合わせることが成功の鍵だと考えている。「イノベーションとエンブラエルの伝統や専門性のバランスをとることが重要だ」とモチドロワーは語った。
(forbes.com 原文)