AI

2024.05.28 09:00

大量の電力を消費する「AI」で世界はエネルギー危機に

米国で人気が高まりつつある電気自動車(EV)は、充電にかなりの電力を必要とする。2035年には販売される自動車の半分がEVになると予想されており、それまでにEVは米国内のエネルギー需要を38%押し上げるとみられている。テック企業やデータセンターが数多く立地するテキサス州では電気代が高騰したり停電が部分的に発生したりするなど、これらの要因が合わさって突きつける問題はすでに顕在化している。

手頃な価格のエネルギーを安定して使えるようにするために、AI産業と電力を供給する企業は高いエネルギー需要を満たすために、太陽光発電所や風力発電所の建設に加えて、豊富な天然ガスと原子力の可能性に目を向ける必要がある。 外国のAIデータセンターは米国の液化天然ガスを燃料とする電力に注目するかもしれない。この問題に最も近い人たちは、そう考えている。OpenAIの最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマンは、現時点のクリーンエネルギーとバッテリー技術でAIの成長を支えられるか懸念を示しており、それらを選択肢として検討するには画期的な進歩が必要だと述べている。

米国はまた、需要増に対応するために古くなった送電網のインフラを新しくすべきだろう。産業界や世帯がますます多くの電力を必要としている一方で、送電線の新設は2013年の約6440kmから現在は約1610kmに減っている。電力会社が増えた電力を送電できなければ、発電能力の増強はほぼ意味をなさない。

AIは人類と経済の未来に欠かせない。米国がAIを発展させられなければ、中国など競合国に遅れをとるのは必至だ。AIは米国の発電・送電能力に新たな問題を突きつけているが、原子力や天然ガス、再生可能エネルギーはすべて国のインフラ整備にひと役買っている。AIを発展させるためには、政策立案者や経営者らはその場しのぎの策に目を向けるのではなく、米国が自由に使えるすべてのエネルギー資源を利用できるようにしなければならない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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