しかし、2022年に『Journal of Experimental Social Psychology』に掲載された研究によると、人は複数の潜在的な「一線を超える」要素が存在しても関係を維持し続ける傾向があるという。こうした要因は、すぐに関係を終わらせる代わりに、一時的に立ち止まって考えさせる「妥協できる限界」として理解されるべき要素だ。
以下の3つの事例は、「妥協できる限界」が「破局の条件」に変わる可能性があることを示している。
1. 関係を長続きさせたいと思っている場合
短期的な関係か長期的な関係かという点が、「妥協できる限界」の捉え方に影響する。2022年に『Frontiers in Psychology』に発表された研究によると、長期的な関係を考えている方が短期的な関係を考えている場合よりも潜在的なパートナーとの破局の条件に対して厳しくなることがわかった。例えば、パートナーの積極性のなさは、短期的な関係では妥協できる問題として見なされるかもしれないが、真剣な長期的関係ではより批判的に見られる。長期的な関係では、感情的な投資がより深く、より重要になる。そのため、自分にとってふさわしくないパートナーに感情や時間を投資してしまうリスクを避けるために、相手に対する評価基準が厳しくなるのも当然だ。2017年に『Frontiers in Psychology』に掲載された別の研究では、理想とするパートナー像と実際の相手との間に共通点が多いほど、関係に対する満足度が高くなることが示されている。つまり自分の期待に沿っていて、「妥協できる限界」の要素が少ないパートナーを選ぶことで、将来的な恋愛のトラブルや精神的な負担を軽減できる可能性が高くなるのだ。