ヘルスケア

2024.06.11 14:00

恋愛における「妥協できる限界」が「破局の条件」に変わる心理学的な理由

2. 問題が解決されないまま繰り返される場合

問題行動や特性を妥協して対処することで「妥協できる限界」を回避しようとするかもしれない。しかし、パートナーが変化に対して消極的な場合、妥協できる限界は対処可能から克服不能へと変わるかもしれない。解決されず繰り返されるパターンや問題は失望と苦悩を引き起こす。たとえば、繰り返される不貞、継続的な不誠実、習慣的な無礼は、破局の条件のきっかけとなりうる。

変化がないと、相容れなさが明らかになり、頻繁な衝突として表れる。『Current Opinion in Psychology』に掲載された2017年の研究では、繰り返される衝突が関係の長さと満足度に影響を与えると結論づけている。深刻かつ持続的な対立は、個人が状況に対処するために自身の愛着パターンに頼ることを促す。これにより、人々は回避的または不安定な心的態度で対処するようになり、関係をさらに悪化させる。

未解決の問題が放置されたままでは、妥協できる限界が許しや和解の限界を超えて関係を「曲げて」しまう可能性がある。

3. 自身の健康が脅かされている場合

パートナーに複数の「妥協できる限界」を感じながら関係を維持しようとすると、その累積的な悪影響により自身の健康が著しく損なわれる可能性がある。2023年の研究によると、感情的に満たされない関係は、不安、うつ病、自尊心の低下を悪化させることがわかった。

そうした妥協できる限界に対処することで、感情的な安定性を損ない、愛情を妨げる可能性がある。『The Qualitative Report』に掲載された研究によると、愛が冷めることは激しい感情的痛みを引き起こし、悲しみに圧倒されることが示された。研究参加者の1人は、「はい、うつ状態でした。私は強く交際を望んでいましたが、そのときのコスト、感情的コストは大きすぎました。私は疲れ果てていました」と述べている。

パートナーの行動や習慣が自分の感情的な健康に悪影響を及ぼしている場合、それは「破局の条件」の明確なサインであり、対処が必要だ。

複数の「妥協できる限界」の要素の蓄積が、忍耐力を許容から終結へと導くようだ。「妥協できる限界」が「破局の条件」に転ずる過程を理解することは、自分の健康を守り、健全な関係を維持するために重要だ。もちろん妥協はどんな関係でも不可欠だが、自分の幸せと健康にとって譲れない部分を堅持することも同様に重要なのだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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