海外

2024.05.25 13:00

2兆円の巨大市場、「CO2排出量の測定ソフト」を展開する仏Greenlyの挑戦

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グリーンリーは、カーボンニュートラルを目指すパリ協定が署名された3年後の、Z世代を中心とした気候変動ムーブメントが進行していた2019年に最初のアプリを立ち上げて、約5万人のユーザーを獲得するまでに成長したが、当時その利用はすべて無料であり、収益化には苦戦したとデルバックは話す。彼は、テクノロジーを顧客向けアプリに統合するために報酬を支払う銀行と提携しようとしたが、フランスのBNPパリバなど20以上の銀行と提携した後でも、スケーラブルなビジネスにはならなかったという。
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さらに、この分野には競合も多く、米国を拠点とするWatershed(ウォターシェッド)は、2億4000万ドル(約375億円)を調達して、カーライルのような世界的大手と取引している。そこで2021年に彼らは中小企業をターゲットにするようにピボットした。

デルバックによると今でも同社の顧客の半数は、中小企業で、これらの顧客の多くは、ブランドやマーケティングのためにグリーンリーを利用しているという。さらに、同社は競合よりも安価な価格でサービスを提供できるのが強みだと彼は説明した。

デルバックは、グリーンリーが2030年までに10億トンのCO2排出を削減できると予測しているが、誰もがその数字に納得しているわけではない。オックスフォード大学の気候科学者で教授のマイルズ・アレンは「企業による温室効果ガスの排出量をより良く測定したからといって、気候変動の問題が改善する訳ではありません」と話す。しかし、それでもアレンは、政府の規制強化がこのソリューションの市場拡大につながるため、グリーンリーの事業が成功する可能性があると考えている。
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デルバックは、自社のレポートを顧客がどのように利用するかは、最終的にはその顧客に委ねられていると語るが、それでも同社は複数の顧客のアクションプランの策定を支援しているという。彼はまた、グリーンリー自身が気候変動の問題を根絶するのではなく、そこに一歩でも近づくための手助けをしているのだと説明した。

グリーンリーの次の目標は、米国への進出だ。デルバックは、今年の大統領選挙の結果が同社のビジネスに与える影響を懸念しているが、バイデン政権が打ち出した企業の環境保護に対するインセンティブは、米国を魅力的な市場にしている。

「気候変動に取り組むのであれば、野心的でなければなりません。当社の事業は成功を収めてはいますが、もっと多くの解決策が必要なのです」とデルバックは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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