米国とスイスにオフィスを構えるアンソロポスは効率的に2つの課題に焦点を当てている。まず、同社は組織が従業員のスキルを詳細かつ正確に把握することを支援している。そして、従業員自身が恩恵を受け、雇用主が懸念するスキルギャップを埋めることにもつながる、従業員の新しいスキルの獲得をサポートする。
「当社の目標は組織と従業員の足並みをそろえることだ」とアンソロポスCEOのステファノ・ベラージオは話す。ベラージオは昨年、ジャコモ・マリナンジェリと共同で同社を創業した。2人はその前に、マイクロソフトやワーナーメディア、デロイトなどを顧客に抱え、年間売上2500万ドル(約39億円)超のクラウドベースの教育サービス、Cloud Academy(クラウドアカデミー)を立ち上げている。
アンソロポスはサービスを提供する上で自動化とAIを活用している。まず、従業員の履歴書や職務経歴、リンクトインのプロフィールなどのデータをスキャンすることで、従業員がすでに持っているスキルを特定することができる。同社は6万以上のスキルと1万8000以上の職務から成る独自の「スキル分類法」を開発しており、従来のアプローチよりはるかに高い精度で雇用主に従業員のスキルを示すことができるという。
「多くの場合、雇用主は社の人材がどんなことができるかを完全に把握していない」とベラージオは指摘する。「他の部署やオフィスにいる従業員が適任であるかもしれないことに気づかず、人員を補充しようと苦戦しているかもしれない」。
アンソロポスの価値提案の2つ目の要素はスキルの検証だ。AIを使って従業員が実際にスキルを活用する能力をテストするために、没入型のシュミレーションを構築することができる。このような業務のシミュレーションは従業員にデジタルマーケティングの戦略を策定させるものから、メンテナンスの問題を解決させるものまで多岐にわたり、一般的な演習を提供するだけでなく、特定の条件下でのシミュレーションを構築することもできる。
シミュレーションの目的は、従業員と雇用主の双方が同様に、従業員のスキルがどのようなものなのかをより正確に評価することであり、かつそれを安全な環境で実行することだ。ベラージオは「当社が現在サービスを提供している顧客は、新しい役割に移行する従業員のスキルを迅速に検証し、特定のプロジェクトに適したスキルを持つ人材を難なく特定し、また職務に関連する実際のシナリオで候補者を大規模にふるいにかけるためにアンソロポスを使用している」と説明する。