とにかく終わらせるには
このような泥沼にはまらないよう、タスクの優先順位を決めて、一度に一つずつ片付け、To Doリストの項目を着実に減らしていこう。1) 落ち着こう
まずは、深呼吸してパニック反応を抑え、思考をクリアにしよう。ハーバード・ビジネス・レビューの専門家アリス・ボイスは、自己との対話を推奨する。「自己との優れた対話は、心を穏やかにし、統制感を取り戻す助けになる。自分を思いやりつつ、適切な形で責任を果たすことにつながる」たいていの場合、不安は、自分のパフォーマンスを他の人と比較することから生まれる。タスクから心理的に距離を取るようにして、平均的な仕事で良いのだ、と思うようにしよう。
2) 1日に1回、優先順位を検討しよう
明確な優先順位を設定しよう。ただし、これを考えるのは1日に1回だけにして、検討のやり直しは行わない。これからの先の8時間で取り組むタスクの計画を立て、それぞれの開始時間と終了時間を決めよう。簡単な方法は、カレンダーで時間枠を設定することだ。まずは、重要なタスクの予定を入れよう。次に、それほど重要でないことを追加しよう。1時間の枠をとって、数分間でできる「重要でないタスク」をまとめて行うと、気が散るのを避けることができる。
3) 受け入れよう
計画的に時間を配分して、それを超えないようにしよう。テック業界には、「技術的負債(technical debt)」という概念がある。これは、さらなる改善の余地があることを認めつつ、仕事の質が一定水準を上回っていればそれで受け入れることを指す。つまり、抱えているタスクをまずは終わらせるために、完成度を高める段階を先送りするのだ。「これで充分」という状態を定義しよう。もし時間が許せば、あとで戻って、細部に手を入れればいい。
4) 「進行中の仕事」を視覚化する
あまりに多くのことに同時に取り組んでいたり、進行中の仕事が増え続けていたりする時は、自分専用の「看板ボード(Kanban:視覚的合図)」を使い、確認しやすくしておこう。パーソナルな看板ボードは、デスクの上に収納ボックスやフォルダーを置き、未完成なタスクを入れておくものでもいい。あるいは、コンピューターのデスクトップに、デジタルにフォルダーを設置してもいい。アプリを使って管理を自動化する手もある。メールの下書きも、進行中の仕事の可視化に便利だ。
5) 一日の仕事を意識的に総括する
一日の終わりに進捗を振り返り、どのタスクが完了したか、どのタスクの続きを翌日やる必要があるか、助けが必要な部分があるかを確認することは重要だ。その日に達成した成果を喜び、タスクを終わらせた自分にご褒美をあげよう。集中を妨げるものや、FOMO(Fear Of Missing Out:取り残されることへの恐れ)、あるいは、さまざまな要求のぶつかり合いに満ちたこの世界で、物事をとにかく終わらせる力の重要性は、どんなに強調しても足りない。大切なのは、どれだけ多くのタスクを同時進行できるかではなく、一つ一つのタスクを効率的にこなし、しっかりと意識して目標を達成することなのだ。
(forbes.com 原文)