働き方

2024.05.20 09:00

タスクを「とにかく終わらせる」仕事術

木村拓哉
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Getty Images

あなたは、「メールの返信がどれだけ速いか」で人をカテゴリー分けしたことがあるだろうか? 正直に言うと、筆者はある。効率的であることは、成功を手にするために不可欠なスキルだ。

けれども、現代の過酷な労働環境において、人々は常に、マルチタスクの管理、先延ばし、完璧主義といった課題に直面している。その結果として私たちは、状況に圧倒されてしまう時もある。こうなると、前進が妨げられ、メール返信のような単純なタスクさえもこなせなくなってしまう。

だからこそ、テック業界などで採用されるアジャイルなビジネスプラクティスでは、次のタスクに取り掛かる前に「物事をとにかく終わらせる(getting things done)」ことの重要性が強調されているのだ。

メールを書いたが送っていない、コーディングを済ませたがテストをしていない、顧客と話したが販売契約を結んでいないといった形で、未完のタスクを放置していると、実際の進歩がないまま日々が終わってしまう。こうした状況は、フラストレーションや不安、疲労につながり、「必死で働いたのにほとんど成果が出ていない」という焦りにつながる。知らず知らずのうちに、終わりなきTo Doリストに圧倒されてしまうのだ。身に覚えはあるだろうか?

「圧倒されてしまった時」の心理的影響

To Doリストの項目が果てしなく増えつづけるうちに、やがて、メールをチェックするのが億劫になる。1つのタスクに取り組んでいるさなかに、手をつけていない別のタスクのことを考えて不安を覚えるようになる。まさに、「自分のキャパを超えてしまった」状態であり、燃え尽きの一歩手前だ。

こんなとき、人は「とにかく終わらせる」ことができずに、過剰にコミットして、手に負えない量の仕事を抱え込んでしまいがちだ。こうした状況において、私たちは一種のパニックに陥り、心理学用語でいう「硬直/逃走/闘争反応」を示すことがある。

1)硬直:先延ばし

仕事の中でも、特に難しい、あるいは面倒な部分への着手を遅らせる。具体的には、誰かに応援を頼んだり、誰かに連絡をとったり、文書のレビューをしたり、プロジェクトの最後に残った細部を確定させたり、といったことが先延ばしの対象となりがちだ。先延ばしは、罪悪感やストレス、不安を伴うことが多い。

2)逃走:回避

To Doリストのうち、重要で緊急性の高い項目から目をそらし、携帯電話をいじったり、リストにさらに項目を書き加えてみたり、簡単そうな、あるいはより興味をもてる、単純だが緊急ではないタスクを進めたりする(こうすることで、少なくとも何かをしている気分になれる)。

3)闘争:マルチタスキングと過剰な努力

何の戦略もなしに、また誰かに助けを求めずに、衝動的な反応をする。結果として、目標に関連しそうではあるが、それに向けた前進にはつながらない雑多なタスクに気を取られ、脱線してしまう。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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