マーケティング

2024.05.23 14:15

「死」という新たなマーケットに注目。渋谷の「Deathフェス」が大盛況のわけ

暗く悲しいイメージだった死の価値観を覆すDeathフェス


2人は現在、Deathフェスの定期開催に加え、有機還元葬の法人設立を準備中だ。有機還元葬の合法化の動きが急速に進むアメリカやドイツに続き、99.99%が火葬の日本においても、新たな選択肢の創造を目指す。市場の拡大まで10年かかったアメリカに対し、日本ではそれよりも短い期間で実現ができるのではないかと予想している。
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すでに、フェスでの有機還元葬のプレゼンテーションには高齢者からの反響があった。潜在ニーズと日本ならではの自然に即した死生観との相性からも、今後に期待が高まる。
小野さんが視察したシアトルの「RECOMPOSE(リコンポーズ)」の葬送施設。 六角形のカプセルの中で遺体がコンポストされる仕組みだ

「Deathフェスは“生きるためのフェス”であると、私たちは伝えています。死を考えることはつまり、今をどう生きるかを考えること。生きることによりフォーカスして自分らしい選択をする人が増えていけば、日本の幸福度も上がるはず。多様な死で生を照らすことで、1人ひとりの行動を変え、新しい選択肢を生み出していきたい。私たちはやっとスタート地点に立ったところです」

死を取り巻く社会環境が変化したことで、そのあり方は大きく変化している。いよいよその存在感が増し、長い間見過ごしてきた領域に光を当てる時がきた。より私たちの生活と身近になった死に、マーケットとしても大きな可能性を感じている。
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市川 望美(いちかわ・のぞみ)◎一般社団法人デスフェス 共同代表、非営利型株式会社Polaris取締役ファウンダー、合同会社メーヴェ 代表。短大卒業後、IT系企業へ入社。育児離職、子育て支援NPOを経て、2011年内閣府のビジネスプランコンペで採択されPolaris設立。令和元年度東京都女性活躍推進大賞受賞。2023年、より実験的なプロジェクトに関わる器として合同会社メーヴェ設立。現在は「生と死のウェルビーイング」をテーマに、Deathフェスを起点とした新しい文化の発信、エンディングにまつわる多様な選択肢づくりを実現すべく奮闘中。

小野 梨奈(おの・りな)◎一般社団法人デスフェス 共同代表、合同会社カレイドスタイル 代表。理系大学院修了後、IT企業、女性向けWebメディア企業を経て2006年に独立。企業や経営者、研究機関の伴走者となり、情報発信やコンテンツ企画を支援。女性経営者・フリーランスのためのオンラインコミュニティ「ホクレア」を運営。Deathフェスと並行して、日本での有機還元葬の実現に向けて法人を設立準備中。

文=佐藤祥子

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