ワークショップでの対話を受けて、その日初めて会った人をまるで長い友人であったかのように悼む参加者らも印象的だった。
ポップでアートな葬送ブランド『GRAVETOKYO』の棺に入る入棺体験。参加者は思い思いに自分を着飾る
入棺中、他の参加者がそれぞれに故人への想いを述べる。棺の中の故人にそれが聞こえてくる
死という終わりを迎えることによって、自分にとって本当に大切なことは何なのか、そのために今何をすべきなのかが濁りなく明らかになってくる。死からのバックキャスティングを生前に行うことによって、よりよい生き方を見つけられると感じた。
コンテンツのラインナップにおいては革新と伝統のバランスも忘れない。
葬送業界関係者のアドバイスをもとに取り入れた、現役納棺師による模擬納棺式や自治体の終活支援についてのトークセッションも大きな反響があった。
横須賀市 民生局 福祉こども部 地域福祉課 終活支援センター 福祉専門官の北見万幸さんによる終活支援のセッションは立ち見が出るほど盛況に
開催までは集客を懸念していた業界関係者もその反響に嬉しい手応えを感じたようだ。来場者からも、「タブーとされている死について語ることの必然性、それがどう生きるかまで考えることに繋がった」「死をウェルビーイングの延長で考えると、こんなにもポジティブになれるのだと気付きを得た」など、多くの前向きな意見が寄せられた。
死は新たな可能性のあるマーケット
2024年は、能登半島地震、羽田空港地上衝突事故と続く、衝撃的な幕開けだった。市川さん、小野さんによると、多くの人が死を間近に感じたことで、日本社会全体として今、死というテーマに向き合わなければいけないというムードが高まっている。
さらに、今後予想される年間死者数の増加は、死にまつわるマーケットの確実な拡大を意味する。ここはまさに時代の転換点であり、大きなビジネスチャンスでもあるという。