マフムッド・アブドゥルハディ観光副大臣は、日本について、「サウジアラビア同様に、独自の文化を持つ。伝統や風景は異なるものの、共通するのは、もてなしの心。サウジアラビアには日本のような“おもてなし”を求める広い分野からの投資を期待したい」と語った。ちなみに、女性である筆者は過去に一人旅で入国ができなかった経緯があったが、「現在は状況が様変わりしており、ビザの申請もオンラインで5分ほどで簡単にできる。女性の一人旅にとっても安全な旅先であり、歓迎したい」という。
観光の目玉、ディルイーヤへ
サウジアラビア政府は観光分野に8000億ドル以上を投資しているが、その観光の柱は、1446年に起源を持つ遺跡で、世界遺産にもなっているアルトゥライフ地区を中心とする「ディルイーヤ」と呼ばれるエリアだ。ここは、元サウード王家の本拠地となっており、土で作られた伝統建築が残る。この地域を担当する、ディルイーヤ門開発庁のCEO、ジェラルド・J・インゼリロ氏によれば、この地区には去年12月から3月初頭のわずか3カ月ほどだけで200万人が訪れている。広さは14平方キロメートルあり、今後さらにホテルやより多くのレストランがオープン予定で、2030年にリヤドで開催される万博に向けても、大きな弾みになるだろうと語った。
実際に訪問して感じたことは、サウジアラビアは開発において、伝統の美意識を保持することに努めていることだ。KAFDは、いずれも高層ビルながら、すべてアラビアの伝統的な美意識を現代的に解釈したもので、このディルイーヤも、新しく作った建物ながら、伝統的な建築様式で作られ、15世紀に建てられた遺跡と同化して見える。
もちろん、そのなかにはフランスのカフェ「アンジェリーナ」など欧米のブランドも少なくないが、外国文化を受け入れつつも、しっかりとサウジアラビアの伝統や個性というべきものを守っており、それがどこも似通って見えがちな世界の大都市とは一線を画している。それが、今後エキゾティックさを求めるラグジュアリーな旅行客を惹きつけるのではないだろうか。