小さな企業には、そのような能力はない。しかし、十分な資金力のある大企業は、ビジネスにAIを活用するあらゆる方法を見つけ、活用すべくあらゆる種類のお金を費やしている。
例えば、筆者は以前、Klarna(クラーナ)について記事を書いた。同社のAIチャットボットは、700人のカスタマーサービス・エージェントの仕事をこなすことができる。Xfinity(エクスフィニティ)も、社内のAIシステムを使って、問題に答えるだけでなく、文字通り人の手を介さずに、家庭におけるネット接続やサービスに関する問題を解決している。
KFCやタコベル、デイリー・クイーンなどの企業は、AIカメラを使って「従業員の顧客とのやり取りを監視・分析し、より多く販売できた従業員にボーナスを配分する」ようにしている。警察は、AIカメラを使って起きたことを撮影し、自動的に報告書を作成している。ウォルマートは、AIを搭載した自律型フォークリフトを使って、倉庫内の商品を移動させている。バンク・オブ・アメリカのAIアシスタント、Erica(エリカ)の顧客とのやり取りは、最近15億件を突破した。
これらは誰も見覚えがある世界最大級のブランドだ。こうした大企業やその他多くの企業は、多額の資金を投じて、AIを活用した社内アプリケーションやソリューションの開発を行なっている。これまで人間がやっていた仕事をAIにやらせることで、人手不足の問題を解決するだけでなく、全体的な収益も向上させている。
大企業がAIに資金を投じる。これが2024年のAIの物語だ。では2025年はどうだろう? 2026年は?
その頃になると、コストが下がり、バグが解消されてコモディティ化が進み、こうしたテクノロジーは中小企業にも浸透し始めるだろう。より多くのソフトウェア・ベンダーや新興企業が、大企業がやってきたことを模倣し、独自のソリューションを大衆に提供し始めるだろう。それはすでに始まっている。
つまり、今後2~3年のうちに、食料品店では、店から出ようとする買い物客の商品を撮影することで万引きを防止するようになるだろう。個人商店では、従業員がどのように顧客にサービスを提供しているか(そして販売しているか)をよりうまく監視するようになる。小規模倉庫のオペレーターは、在庫を迅速に把握し、棚から棚へと資材を独自に移動させることが当たり前になるだろう。
AIはすでに、大企業に大きな影響をもたらしている。だが、それはまだ氷山の一角に過ぎない。今後に注目しよう。
(forbes.com 原文)