経営・戦略

2024.05.16 11:30

【バフェットが株主総会で語ったこと2】積み上がる手元資金と海外投資

Daniel Zuchnik/WireImage

Daniel Zuchnik/WireImage

本稿は2024年のバークシャー・ハサウェイ株主総会のハイライトを編集したものだ。本シリーズは3部構成であり、第2部では、莫大な手元資金を抱えるバークシャーの投資方針や、日本や中国など海外への投資意欲について取り上げる。

莫大な手元資金

──バークシャーは1890億ドル(約29兆円)の現金と短期証券を保有している。バフェットは、その莫大な手元資金を株式購入に回さない理由を尋ねられた。

バフェット:このテーブルに座っている誰も、現時点で効果的な使い道を知らないと思います。だからこそ、使わないのです。(短期国債金利が)5.4%という水準では使いませんが、たとえそれが1%だったとしても使うことはないでしょう。連邦準備制度理事会には言わないでくださいね。

私たちは好きな球しかバットを振りません。例えば日本のような市場には、300億ドルや400億ドルといった投資に値する十分な事業規模を持つという前提で、すばらしいリターンをあげられる投資先も存在するでしょう。そうした企業を見つけることができれば、投資するでしょう。私がハンガーストライキを起こしているとか、そういったことではなく、ただ魅力的な投資先が見つからないだけなのです。そうした状況が変わる可能性も出てきてはいますが、本当にそうなるかどうか分かりません。

中国への投資意欲

──中国の株式市場は縮小傾向にある。過去3年間、FTSE中国50指数のリターンはマイナス36%だった。バフェットは、中国や香港を拠点とする企業への投資意欲について質問され、米国企業に対する投資でも国際的なエクスポージャーを十分に享受できるとの考えを示した。

バフェット:私たちの主要な投資先は常に米国です。アメリカン・エキスプレスは世界中でビジネスを展開しており、コカ・コーラほど世界中でビジネスを展開している企業はありません。コカ・コーラのように世界中の人々から受け入れられている企業は他にないでしょう。

私たちは5年前に日本で投資を行いましたが、それは非常に説得力のあるものでした(2020年、バークシャーは日本の大手商社5社の住友商事、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅への出資を明らかにした)。私たちはできる限り早く、それらの企業の株式を買い集めました。私たちは1年かけて、バークシャーの資産の数パーセントを5つの大企業に投資しました。しかし、私たちは保有する企業を通して世界中の経済に関わってはいますが、バークシャーが米国外で頻繁に投資を行うことはないでしょう。

私は米国のルール、弱点、強みなどを理解しています。しかし、世界経済全般について同じ感覚を持っているわけではありません。幸運なことに、私は経済大国ではない小さな国に住んでいるわけではないので、その必要はありません。私はすでに、世界人口の約0.5%という規模でスタートした後、驚くほど短期間で世界の生産高の20%以上を占めるに至った経済大国に済んでいるのです。

私たちは今後も米国志向です。もし本当に大きなことをやるなら、それは米国で行う可能性が極めて高いでしょう。ほとんどの市場で何が起こっているかは承知していますし、可能性を完全に排除するわけではありませんが、ほとんどすべての外国において大きなコミットメントをする可能性は低いと思います。日本でのポジションには非常に満足していますが、それでも、米国で本当に大きな失敗をする可能性は、他の多くの国に比べて非常に低いと思っています。
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forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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