2024.06.01 09:15

オーナーは敬虔な仏教徒 チェンマイのリゾートのセンスに驚く

チェンマイの隠れ家ホテル「ザ・インサイド・ハウス」

グローバルブランドの五つ星ホテルは、スタイリッシュでラグジュアリー。だけどなんとなく味気ないし、飽きも来る。パターン化されていないオリジナリティがあり、「また帰りたい」と思うホテルはそう多くない。

チェンマイの隠れ家ホテル「ザ・インサイド・ハウス」。タイ第二の都市の街中にあって14室のプールスイートを有する、白いコロニアル調のリゾートだ。コンセプトは「Happiness comes from inside」。トリップアドバイザーやブッキングコムなどの宿泊予約プラットフォームで軒並み高い評価を獲得している。

傑出した空間やサービスに惹かれて取材を申し込むと、インタビューに応じたのは意外にも40代半ばの知的で敬虔な仏教徒の男性だった。創業者である彼のストーリーには、深い思想と社員育成のヒントが隠れていた。

悩みから解放された瞑想体験

オーナーの​​​​​​セッタユティ・クライラシリ(以下、Tea)は、バンコク北部で150室ほどのシティホテルを経営する中華系タイ人で、ファミリービジネスの2代目だ。​​​​​​タイ北東部の小さな町で生まれ、両親からは風水や旧正月の祝時など、多くの中国の慣習を受け継いで育った。

タイの名門チュラロンコン大学で金融・銀行学を専攻後、サウスカロライナ大学で国際ビジネスの修士号を取得。​​​​「本当は建築学を専攻したかったけれど、縁がなかった。両親からはビジネスを成長させ、裕福になることの大切さを教えられました。そんななかで私はしばしば空虚な気持ちになり、人生の意味を見つけることに興味を持つようになったのです」と振り返る。

タイは仏教国で、文化としても人々の生活に根付いている。経済界やエンタメ、スポーツ界のリーダーたちも多く瞑想に通うような環境下で、Teaも12年前からマインドフルネス瞑想の受講を始めた。彼が通う集中コースは、朝の4時半に起床し、日が暮れるまで、立ったり座ったり歩いたりの歩行瞑想と座禅を8日間続ける厳しい修行だという。

早朝に托鉢に回る僧侶早朝に托鉢に回る僧侶


「その頃、私は家族間のトラブルなど、自分では解決が難しいいくつかの問題に直面していました。ところが瞑想と師匠の教えによって、それが解決されたのです。まるで私の中で何かが起こったかのようで、その時私は、本当の幸せは外からではなく内側から来るものだと気づかされました」
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文・写真=山田理絵

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