iPad Proの「AI対応」にはまだ伸びしろがある
iPadのカメラを起動するとAIが書類を自動認識して、アプリの画面には「書類をスキャン」という黄色いアイコンが表示される。iPad Proのカメラは書類に写り込む影をアダプティブフラッシュの発光により飛ばしながら、複数の写真データを撮影・合成して美しい1枚の画像データを生成する。iPadで風景やポートレートの写真を撮るよりも、ビジネスユースに特化した使い方を求めるユーザーの声にアップルが応えた格好だ。M4チップには16コア構成のパワフルなNeural Engineが統合されている。AIによる複雑な処理をともなうiPadOSの機能、サードパーティー製のものも含むアプリが動く際には、Neural EngineとCPU内の次世代機械学習(ML)アクセラレータ、高性能GPUが連動する。デバイス上で実行されるブラウザSafariの「翻訳」、写真編集アプリ「Photomator」が搭載するデジタル写真の解像感を補う「ML超解像」の処理を、新しいiPad Proがとてもスムーズにこなした。
今後もiPadOSの進化により、Apple M4チップが持てる性能をフルに発揮するAI機能が充実することも考えられるだろう。6月の開催が迫るアップルの世界開発者会議「WWDC24」で、生成AIに関連する発表があることにも期待したい。
今回筆者は13インチのiPad Proを試したが、サイズがひと回りコンパクトになる11インチのiPad Proにも、有機ELを採用するUltra Retina XDRディスプレイが搭載された。HDR(ハイダイナミックレンジ)映像の表示に対応するiPad史上・最高画質のディスプレイだ。
「有機EL高画質」もMacBookが未踏の領域だ。新しいiPad Proの映像再現力にもぜひ注目してほしい。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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